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商品開発プロジェクト

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建築家 谷尻 誠 × ベツダイ 林 哲平 Vol.01

ベツダイ × SUPPOSE DESIGN OFFICE × ELLE DECOR3社共同商品開発プロジェクトの舞台裏に迫る対談、第1弾。設計を担当したSUPPOSE DESIGN OFFICE 谷尻誠氏と、本企画の仕掛け人であるベツダイ広報部長の林哲平の対談で、谷尻誠氏の思考の原点や、プロジェクトにかける想いを探る。

建築家として独立を決意。その意外な理由とは…。

谷尻: 僕は大学には行ってないし…どちらかというと落ちこぼれでしたね。高校を出て、専門学校に行って設計事務所に入ったのですが、そこはアトリエ系でもなかった。最初の事務所に5年いて、次の事務所に1年。その時、26歳でしたが、自転車のレースにハマっていたんですよ。自転車のレースに出場するには、フリーランスの方がいいなと(笑)。だから、独立するぞ!というより、下請けで図面を描きながら、自転車のレースに行くぞ!というのが独立のきっかけ。動機が不純なんです。


: その頃は、すでに図面作成を受けるくらいのスキルやキャリアがあったからフリーランスに?


谷尻: いや、何も考えてなかったです。描ける、描けないというより、とにかく自転車のレースに参加したいと。


: 仕事よりも自転車に夢中(笑)。ところで、建築家として活躍するきっかけはどんなお仕事だったのですか?


谷尻: 最初はカフェや美容院などの店舗をつくっていました。実はお店なんてつくったこともなかったけど「得意です!」とハッタリ言って仕事を取ってましたね。それから調べてつくる。下請けのくせにいろいろと提案もしていましたよ。


: 自分自身のセンスや思想を通したいという想いがあったのでしょうか?


谷尻: 若い頃はそうでした。今みたいにデザインされた建物のつくり方など分からなかったけど、つくりたいという気持ちは強かったですね。できる、できないより、どういう風にしたいの方が勝っていた。今は、こうすればいいんじゃないですか?という柔らかい提案をしていますが、その時はもっと強く主張していたので…そんなことしているうちに下請けを全部切られたんですよ。言われた通りに描かないし、期限は守らないから。やることなくなって焼き鳥屋でバイトをしていました。

みんなが知っているけど、これって「新しい」をつくりたい。

対談風景 谷尻氏(右) / 林(左)

対談風景 谷尻氏(右) / 林(左)

​林: 単刀直入にお伺いしますが、家のデザインって面白いですか?


谷尻: 面白いですね。すごく面倒なので、ゆえに面白い。家をデザインするのは、それだけ濃密なんです。住宅の仕事はずっとやっていたいなと思います。


: それはダイレクトに住まい手の感覚やが響くからですか?


谷尻: そうです。施主様によっても出来あがるものがかなり変わるし、空間の隅々まで自分たちの精神性が宿ります。住宅はそれが程よいスケール感で表現できます。


: 家をデザインするときに大切にしている点は?


谷尻: 僕は物事の原型に戻って考えるのが好きなんです。例えば、リビングをつくるのに、いつから人は「リビング」と呼び始めたのだろう、どの瞬間「リビング」って呼んでしまうんだろうと考えます。人はこういうことがあると「リビング」って呼ぶんだなと分かると、それをおさえておけば、これまでとは全然違う形式であっても「リビング」と呼んでしまう概念が生まれます。そういうことを意図的に設計していこうと考えています。


: 住まい手がイメージしていたリビングとは違う空間であっても、その人が「リビング」と思える空間であればいいという発想ですね。


谷尻: はい。矛盾していることが好きなので、新しいものを作りたいんですが、新しいだけでは評価しにくい「懐かしい未来」をつくろうと。みんな知っている要素を使いながら「これは新しい」というものをつくるように意識しています。​

谷尻 誠 / Makoto Tanijiri
谷尻 誠 / Makoto Tanijiri
1974年広島県生まれ。94年穴吹デザイン専門学校卒業後、設計事務所勤務を経て、2000年建築設計事務所Suppose design office設立。建築をベースとして、新しい考え方や関係性の発見をテーマに掲げ、常に豊かで楽しい建築の可能性を提案し続けている。
エル・デコ / ELLE DECOR
エル・デコ / ELLE DECOR
ELLE DECOR(エル・デコ)は、ファッション誌ELLE(エル)のファミリー誌として1987年にパリで誕生。インテリアとデザインの視点から、洗練されたライフスタイルを語る雑誌として、世界的にも有名なインテリア情報誌です。現在、世界33の国と地域で発行されています。

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