キッチンでつながる、我が家とお店。ソウル・漢南洞での暮らし。
流行の移り変わりが早く、パワー溢れるエネルギッシュな国・韓国。めまぐるしい毎日でも、流されることなく、好きなことをしながら、丁寧に生活している家族がいる。ソウルで『gyeupsik鶏業食』を営むオーナー婦人で、自身もイラストレーターとして活動するjuheeに、漢南洞での暮らしについて聞いた。
ソウル・梨泰院のメインストリートからソウルの中心を流れる漢江へと向かう道の周辺にある漢南洞。ソウルのランドマークタワーである南山の頂上にそびえ立つNソウルタワーを望むことができる場所でもある。各国の大使館や公邸が多く集まる場所ながら、路地に入れば閑静な住宅街が広がり、『gyeupsik鶏業食』は、その一角に位置する。
「現在の場所へは、2022年2月に来ました。以前は、慶州市という比較的こじんまりとした街で暮らしていました。本当に静かな住宅街でしたね。今の通りも住宅街ですが、前の家とは違い、近距離にセレクトショップやカフェ、ギャラリーなど、いろいろなお店があります。慶州市からソウルに引っ越してくるとき、さまざまな事情で自宅と店舗を同時に探さなければならなかったので、金銭的な余裕があまりありませんでしたが、以前の家よりは小さいですが、店舗と自宅を一緒に使えるのでこの物件に決めました。漢南洞に引っ越してきたことで、文化的に多様化し、公共交通機関の利用が便利で外出が多くなりました。 おいしい食べ物も多くて幸せです 」
現在の物件は、ビル一棟の地下(キッチンと予約席)と一階(エントランスとホール)を店舗として、二階を自宅として使用している。韓国では、自宅と店舗を同じ建物内に構える家庭は、あまり多くはないけれど、比較的あることだともいう。
「家と店舗を一緒にすることは、多くの長所と短所が共存します。主人の価値観によるので、一緒に暮らしたり、別々に暮らしたり、さまざまですね。私の場合は店舗が食堂なので、食べたいものをすぐに注文できますし、子どもの食事の準備や家の野菜が足りないときに、店舗に降りて持ってくることができるのは、便利だなと思います」
建物の構造上、店舗と自宅の入口を別に設けることができなかったり、思い通りにいかない部分はありつつも、家に対して特に望むことはなかったという。
「私はどんな家でも主人が愛し、育てれば、家自体が輝くと思っているんです。過去にも、作られたそのままの状態で入居して暮らしましたし、これからもきっとそうだと思います。ただ、猫も一緒に生活しているので、クローゼットくらいは別にあったらいいなと思いますね」
店舗についても同じように、特別な望みはなかったというが、そのぶん限りあるスペースを効率的に使うことをたくさん考慮した。床材を貼り直すなど、スタッフ総出でリノベーションも施した。地下には素敵なキッチン、一階には光が注ぐ大きなホール、いい季節にはテラス席も気持ちがいい。
「全部気に入っていますよ。私の店ですからね」
自宅には大きな窓があり、たくさんの光が射し込む。陽射しのいい日には洗濯をして干したり、掃除したりすることが気分転換になる。愛娘のおもちゃをたくさん集めておける、小さな子ども部屋がかわいくてお気に入りだ。現在は育児と家事、そして仕事までが地続きで特別な趣味といえるものはないが、日々の何気ないことが幸せだと語る。
「家では個人ヨガの授業を聞く日もあり、これから控えている出産のため、赤ちゃんのために家の構造も変え、最大限安定したルーティンで生活するようにしています。月々の賃貸料が上がらず、健康に、これから生まれてくる次女と、家族4人みんなで仲良く暮らしていきたいですね」
“どんな家でも主人が愛し、育てれば、家自体が輝く”。この言葉が、なにげない日々の暮らしの大切さに気付かせてくれる。
- gyeupsik鶏業食
- 2018年にオープンしたチキン料理店。独創的で美味しいメニューにワインの種類も豊富。アーティストやクリエイターも多く訪れ、カルチャーの発信地にもなっている。問い合わせはInstagramのDMから。
- Instagram - @gyeupsik
- Photo/Kazuki Takahashi(SUNDAY ISSUE)
- Edit & Text/Shoko Matsumoto
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