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水辺の暮らし。外遊びと日常をつなぐ、絶景を取り込む平屋の家。
OUTDOOR 2024.09.26

水辺の暮らし。外遊びと日常をつなぐ、絶景を取り込む平屋の家。

青い空と湖を背景に、愛車のハイエースとシンボルツリーのアオダモとともに佇む一軒。キャンプをはじめとした外遊びを楽しむ山崎さん一家が絶景を求めて建てた邸宅だ。水辺ならではの景色が、家族の日々の暮らしと外遊びとを柔軟につないでいる。

INFORMATION
山崎 祥平
山崎 祥平
やまさき・しょうへい|島根県在住。水辺に構えた絶景を臨む邸宅で、妻と息子とともに3人暮らし。家での暮らしのほか、キャンプや登山、サーフィンなど海山でのアウトドア、愛車のハイエースを楽しむ日々をInstagramで発信している。

名峰と空、湖が織りなす絶景地。

「景色の良いところに家を建てたい」。その思いから始まった、山崎家の家づくり。

社会人になってからキャンプに登山、サーフィンと多彩なアクティビティに熱中するようになった祥平さんと、両親の影響で幼少期からキャンプに親しんできた妻の桃子さん。夫婦そろってアウトドア好きで、とりわけ「鳥取県の名峰・大山が生み出す絶景とともに楽しむ外遊びは最高」だという。

大山が望める絶景地を探し求めてたどり着いたのが、「中海」と呼ばれる汽水湖に面したこの場所だ。

自宅の目の前には、空と湖面の青がつながる絶景。天気のいい日は大山の姿もくっきりと見える。念願叶って手に入れたこの景観を存分に楽しむため、家は平屋を選択した。
「部屋の中でも外のデッキでも、まるで湖面に立っているような風景が視界いっぱいに広がっています」

一方で、海水の混じる汽水湖の前に家を建てるには、海ほどではないにしろ塩害対策は必要。そして家の周囲に風をさえぎるものがないため、防風・防音対策もマストだった。手が届く範囲はなるべく自分で我が家をメンテナンスしたい、との思いから、手入れをしやすい平屋にしたともいう。

シームレスなLDKとデッキが、家族とのひと時を印象深く刻む。

家づくりのスタート時には、どんな生活をしたいのか、夫婦それぞれ思いつくままリストアップ。祥平さんは「とにかく景色を楽しみたい。家族みんなでリビングやダイニングに集まってワイワイ過ごしたい」、桃子さんは「キッチンで料理をしながら大山を見たい」。思い描く暮らしのイメージを2人で突き詰めた。

そうして完成したのは、大開口の窓が印象的な間取り。景色を切り取り、まるで自分たちだけのものにしてくれるような、特別感ある造りになった。

各空間にふんだんに採用しているウッドは、ほとんどがラワン合板。天井をはじめ、扉や棚なども造作で素材を合わせている。コンクリートのグレーとのコントラストも美しい。

「LDKは約20帖と決して広くはないので、床を1段下げてコンクリート材にしました。ダイニングやキッチンと意識的に空間を分けて、広く見えるようにしています」

緩やかにつながる空間では、息子の凪くんの姿をいつでも見られる。子供の成長にも合わせながら、家族の大切なひと時を刻む空間になっている。

家族で普段食事を囲むダイニングテーブルは、キッチン前までカウンターが広がっており、ゲストを招いた際に活躍する。常に変化を見せる水辺の景色を横目に、家族や友人たちとのコミュニケーションはますます深まっていく。

キッチン後ろの棚には、愛用のコーヒー器具、地元・島根県の窯元を中心に少しずつ集めているというお気に入りの器やマグ、厳選したキッチン家電がさりげなく並んでいる。

湖へはデッキから直接エントリーできるため、夏は家族での水遊びが定番。冬の夜にはランプを置いて夫婦でお酒をしっぽりと。季節を問わず、アウトドア心を満たしてくれるのがこのデッキだ。

「ハンモックで遊んだり、長く使って味が出てきた自作のテーブルとキャンプでも愛用しているディレクターズチェアを出して、バーベキューをしたり。もう完全にLDKと一体になっていますね」

室内とシームレスにつながるこのデッキは、山崎さん一家の大事な憩いの場だ。

新しい家で広がる、新しい趣味。

家を建てるうえで、新たにやってみたかったことのひとつが薪ストーブのある生活。好みのスタイリッシュな1台をリビングに設置し、薪棚まで自作する徹底ぶり。ちなみにその様子を見た桃子さんの両親も影響を受けて、家に薪ストーブを導入したという。

「薪活はやってみると意外と大変でしたが(笑)。妻の両親、家づくりの相談にのってもらった前の職場の先輩、友人たちと一緒に楽しんでいます」と徐々に広がっていった薪活仲間とともに勤しんでいる。

家を建てて以降ハマっているグリーンは多種多様に増殖中。室内のシンボルツリーはフィカス・アルテシマという種で、勢いのある姿が気に入り、家を建ててから最初に迎えたものだそう。

「前の家では広さや日当たりを考えると手を出せずにいましたが、背の高い植物も気兼ねなく迎えられるように。お世話の楽しみはもちろん、次はどこに置こうか考えるだけでわくわくします」

玄関横には、家族3人分のシューズが収まるクローゼットやキャンプで使うランタンなどが。祥平さんが国内外から集めたスニーカーは、本当に好きなブランドやメーカーのみに厳選して収納することで、すっきりと見せている。

趣味が多彩だとモノにあふれそうなイメージだが、山崎家では選び抜かれた家具や雑貨がバランスよく、存在感をもってレイアウトされているのが印象的だ。置くものを厳選し、どう見せるかを考えること自体が夫婦の趣味になっているのだそう。

家族にとっての第二の家、ハイエース。

以前はランドクルーザー78プラドが相棒だった祥平さん。買い換えのタイミングで出合ったのが、ハイエースRenocaだ。バンライフへの憧れがあったことに加えて、丸目の日本第1号車であると知り、山崎家に迎え入れられることとなった。

天井にアカシアの木を張ったり、コンソールボックスや後部座席のセカンドテーブルを友人とともに手掛けたりと、少しずつカスタムも行っていった。

外遊びにしっかりと対応してくれるのはもちろん、家族が増えた今は、自宅に停めたままデイキャンプ気分で過ごしたり、スクリーンを使って映画鑑賞したりと子供と一緒に過ごす場所にもなっている。理想の自宅を作り上げたように、車も自分たちの手で工夫しながら理想に近づけているのだ。

アウトドア以外でも、例えば通院時の待ち時間を子供とともにここで過ごしたりなど、さまざまなシーンで柔軟に対応してその底力を発揮しているハイエース。まさに家族の第二の家ともいえる存在だ。

これまで以上に、もっと“遊び”にフォーカスを。

家族が暮らす家である以上、もちろん生活のしやすさは大前提。そのうえで景色を求めたのは、もはやライフワークともいえる外遊びと暮らしとを境目なくつなげるため。「子供と一緒にできることも増えてくるし、これからはより“遊び”にフォーカスしていきたいです。」

休日の朝、コーヒーを淹れてダイニングやウッドデッキでひと息つきながら「今日は何して遊ぼうか」と考えるのが祥平さんにとって至福の時間。次の休みもきっとお気に入りの場所で、心を躍らせているに違いない。

  • Photo/Masahiro Ohno
  • Text/Akane Sumida
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