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山梨県北杜市の緑あふれる家。植物と共存する暮らし方
GREEN LIFE 2023.01.11

山梨県北杜市の緑あふれる家。植物と共存する暮らし方

私たちの暮らしに彩りと安らぎを与えてくれる植物。家に植物があるだけで、温かく優しい時間に包まれる。山梨県北杜市で、野菜を育てながら暮らす宇佐美さん夫妻は、築50年の家をリフォームして暮らし始めて4年。たくさんの緑に囲まれて、その豊かさを味わっている。今回は、そんな宇佐美さん夫妻と5人の子ども、愛犬が暮らす自宅を訪ねた。

INFORMATION
宇佐美 達也さん/見和さん(うさみファーム)
宇佐美 達也さん/見和さん(うさみファーム)
うさみ・たつや/みわ|2013年、東京から山梨県北杜市に移住。固定種の野菜を無農薬・無肥料で栽培、販売する「うさみファーム」を運営しながら、夫婦と5人の子どもたち、愛犬と共に暮らす。オンラインショップでは、自家栽培のハーブやハーブティなどを販売。Instagramでは、野菜とハーブを使った料理、日々のお弁当など、自然と共に暮らす様子を発信している。

築50年の家をリフォーム。家族7人+愛犬が暮らす家。

山梨県北杜市で、「うさみファーム」を営む宇佐美達也さん・見和さん夫妻。無肥料無農薬で野菜とハーブを栽培している。緑に囲まれたのどかなこの土地で暮らしはじめてちょうど10年。長男が3歳、次女が生まれて半年のタイミングで東京から移住し、今では5人の子どもと夫婦の7人家族に。

愛知県出身の達也さんと東京都出身の見和さん。どちらの地元でもなく、北杜市に移住を決めたのは、「ここなら自分たちらしく暮らしていけそう」という2人の直感だった。野菜や米から肉、川魚まで食材が豊富で自給率も高く、自然の恵みあふれる土地。

この場所で、未経験から農業を始めた達也さん。「地域おこし支援の制度で、2年間農業を学びながら、自分が目指す野菜作りについて考えました。ご縁があって、放棄された農地をすべて自分たちで開墾して畑にし、農薬や肥料を使わず、自然に近い状態で育てています」

移住当初は、市内にある団地で暮らしていた。畑のすぐそばに建つ今の家と出合ったのは、それから数年後のこと。ちょうど空き家になるというタイミングで声をかけてもらい、思い切って購入を決めた。東京で解体業をしていた達也さん。解体は自身で行い、建物の枠組みだけを残して、設計士さんの図案を元に大工さんと相談をしながら、ほとんどの部分をリフォームした。

夫婦と5人の子どもたちで過ごす賑やかな毎日。達也さんが農業に関心を持ったのは、子どもの存在が大きかったという。「結婚して、家で食事をするようになって、家族が増えて。その時間がすごく幸せだなと感じました。同時に、食べることって大事だなと」。子どもが食べているもので体が大きくなっていくのを身近で見ながら、食べたものが体の一部になっていくことを実感したと達也さんは話す。

植物たちに囲まれて暮らす、豊かな毎日。

宇佐美さん宅で印象的なのは、なんといっても部屋中に置かれたたくさんの植物たち。東京で暮らしていた頃は「植物に囲まれる」というほどではなく、観葉植物を置いたり、キャンプに行ったり、自然のあるところへ遊びに行ったりするくらいで、いわゆる都会に暮らす人の自然との付き合い方だったという。

最初に2人で買った植物は、東京・下北沢の花屋で購入したベンジャミンの木。「抱えて持って帰れたくらい、普通の大きさでした」それが、今では背丈を超える大きさに。「長男より長く一緒に暮らしています」と見和さん。

パキラもエバーフレッシュも、一般家庭ではなかなかお目にかかれないほどの立派なサイズ。ほかにも、サボテンや多肉植物、ツルものなど多種多様な植物たちが揃っている。引っ越してきたときは今の1/3程度の数だったが、どんどん増えていったという。

遊びたい盛りで、部屋でサッカーをしたり走り回ったりする子どもたち。見和さんは「植物たちは話せないし動けないから、みんなが気をつけてあげてね」とお願いしたという。「意外と納得してくれている様子。子どもたちなりに気遣ってくれています」

窓際には大きな鉢植え、オープンキッチンの上や棚には小さなサボテンや多肉植物がずらりと並ぶ。これだけたくさんの数があれば、配置も悩むところ。

「基本的に陽が当たる窓際に集めています。あとは感覚で配置。光を求めて植物同士で対抗しているように、間を縫うように絡み合いながらぐんぐん伸びていて、おもしろいんです。解体したときに出てきた天井の黒鉄骨の躯体をそのまま残しました。植物を吊るすのにちょうど良いため、そのおかげでまたどんどん増えてしまいます(笑)。洗濯物も干せるのでとても重宝するんですよ」。植物たちを眺めながら、優しい表情でそう話す見和さん。今では「家族のような存在」だという植物たちは、見和さんが世話をしている。

「基本的に水やりは土日に。あとは近くを通る時に、葉っぱや土の乾き具合をチェックしています」。植物の育て方は独学。図書館にある植物図鑑などを見て、調べながら育てているという見和さん。「一応調べますが、ほとんど感覚です(笑)」

天井や横にまで伸びて、環境に適応して成長していく様に、植物の生きる力を感じるのだという。「場所は大きくは変えないようにしていますが、植物の様子を見ながら日当たりがいい場所に移すなど、その都度対応しています。先日、葉が一枚もなくなって、もうだめかなと諦めかけた木が芽を出したんです。植物の力ってすごいなと改めて感動しました」

植物、光、木。自然あふれる家族の憩いの場。

植物はもちろんのこと、家具や扉など温かみのある木がふんだんに使われている宇佐美さん宅。「家具は、祖母の家や実家にあったものばかり。新しく購入したものは少ないんです」。古いものが好きだという見和さん。インテリアに不思議と統一感があるのは、センスが光る見和さんの視点で選んだ品々だから。

また、リフォームの際残しておいた前の家の建材も活用していると話す達也さん。「リフォームはしたけれど、古い家から受け継いだものたちを大切にしたくて。子どもたちにもそういう気持ちを感じてもらいたい」

壁に取り付けたガラスブロックのはめ込み窓や土間とLDKを仕切る引き戸も、もともとの建物に使われていたものを活かしている。家具同様、古いものを上手に取り入れることで、部屋に優しさとぬくもりを与えてくれる。見和さんが好きなドライフラワーも、植物や木製家具と馴染んで、インテリアをセンスアップしてくれる。

昔の家の面影を残すリビングで、休日は家族みんなで思い思いに過ごす。本を読むのが好きな子どもたちは、図書館へ行く毎週末を楽しみにしているそう。「それぞれが20冊くらい借りてくるんです。もちろん漫画もありますよ(笑)」。休日や夜は家族が思い思いのお気に入りの場所に座って、本を読んだり、くつろいだりして過ごしているという。

生き生きとした植物、柔らかく差し込む光、木のぬくもり。自然に囲まれたLDKは、家族みんなの憩いの場となっている。

植物がある暮らしを、もっと当たり前の選択肢に。

これまで10年間、野菜を育ててきた宇佐美さん夫妻。今はこれからについて考えている期間だという。「これからは野菜だけにこだわらなくていいなと考えているところです。植物全般に関わっていきたい」と達也さん。「野菜を育てて、植物を育てて、いろいろな視点があるなと感じています。いろいろな人が気楽に植物や野菜を作る・育てるということを生活に取り入れて、当たり前の選択肢のひとつとして広がればいい。そのお手伝いができればと思っています」

「暮らしの中に植物が1つあるだけで、その場の空気もガラリと変わります。とても豊かな気持ちになる。土間や小さな庭を作って植物を育てたいという声もあって、僕がこれまで培った知恵を役立てて、もっと広く植物と関わっていけたらいいですよね。小さなスペースから、1つのプランターから、植物を楽しむ人が増えて欲しい。そのためのヒントを伝えていけたらと思います」

自然に近い方法で野菜を栽培してきた宇佐美さん夫婦。植物の生命力や力強さ、暮らしに与えてくれる豊かさを誰よりも肌で感じてきた。そんなお二人のこれからの植物との関わり方に注目したい。

  • Photo/Takahiro Kikuchi
  • Text/ Hitomi Takano
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