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グリーンがインテリアの主役。レトロマンションが都会のジャングルに!
GREEN LIFE 2023.02.03

グリーンがインテリアの主役。レトロマンションが都会のジャングルに!

毎日の生活に彩りを与えてくれる観葉植物。SNSを見れば、これでもかと植物が配置された、ジャングルさながらのオシャレなお部屋写真があふれている。そんな憧れのグリーンライフを都内賃貸物件で実現する撮影スタジオオーナー、SHINPEIさんのご自宅をレポート。

INFORMATION
SHINPEIさん(スタジオオーナー)
SHINPEIさん(スタジオオーナー)
しんぺい|広島県出身。インテリア系の専門学校を卒業後、インテリアショップ、撮影スタジオ勤務を経て、自身プロデュースの撮影スタジオを設立。インテリアから洋服まで、ヴィンテージやアンティークなどのテイストを好む。

レトロマンションへの引っ越しを機に始まったグリーンライフ。

デザイナーやフォトグラファーなど、多くのクリエイティブ業界関係者から愛される世田谷区三軒茶屋にて、2軒のハウススタジオを運営するSHINPEIさん。インテリア業界で培ってきた選球眼を元に作られる空間デザインは、まだオープン2年目ながら、各種メディアや広告など、さまざまな制作現場から厚い支持を受けている。そんなSHINPEIさんのご自宅も、スタジオと同じ三軒茶屋。面積35㎡のレトロな1DK賃貸マンションに、100株以上の観葉植物とともに暮らしている。

「この家に引っ越してきたのは5年前。昔から、服もインテリアもヴィンテージな雰囲気が好きだったので、ずっと気になっていた物件だったんです。ある時、そこの角部屋が空いたということで内見してみたところ、採光も風通しも抜群で、即入居を決めました。それからですね、植物を買い始めたのは。前の家は1面採光で風通しも良くなかったので、窓の周りに少しハンギングプランターがあったくらいでしたし、その当時はミニマリスト的な考えだったので、植物に限らず、ほとんどのモノはここに移ってから揃えましたね」

植物をエディットしながら空間をデザイン。

これだけの植物に囲まれた生活を送りながら、実はまだ、本格的な植物キャリアは5年ほどだというSHINPEIさん。しかもこの家に引っ越してくる前までは、ミニマリスト的なライフスタイルを送っていたというから驚き。それがここまで変貌した理由やきっかけとは?

「特に大きな理由はなくて、単純にこの家ならいろんな植物が置けそうだな、と思っただけなんですよ。インテリアとしてハマりそうなスペースに植物を置いていったら、自然と今の状態になっていたんです。だから個人的には、植物を集めているっていう意識は全然ありませんね。コレクトではなく、エディットしている感覚というか。あくまでインテリアピースとして植物を使いながら、空間をデザインしていくことが好きなんです」

そんな植物をエディットしながら部屋をデザインするSHINPEIさん。植物を選ぶ際にも、少し変わったこだわりがあるそう。

「おそらくみなさん、まずはショップで気に入った植物を見つけて、それから配置を考える、ということが多いですよね。でも僕の場合は反対で、まずは部屋全体を見渡して、埋めたい、あるいは飾りたいスペースを見つけるんです。その後、見た目的なマッチングと生育環境的な適応性を考慮して、そこに適した樹種の方向性を絞っていく。その上でショップに行き、スタッフさんに質問したり相談したりしながら、最終的に購入する植物を決めていくんです」

一般的な流れとは逆の手順で組み立てていく、インテリア作りのプロならではな植物選び。部屋に植物を置きたいけど何を買っていいかわからないという方も、参考になりそうです。

「それともうひとつ、僕の中でのマイルール。それは、一度枯らした樹種には手を出さないということ。今でこそ植物との関わり方も多少わかってきたし、『水を欲しそうな顔してるな』とかも感じるようになりましたけど、初めの頃は枯らしてしまうことも少なくありませんでした。そういった場合は、うちには合わなかったんだなって、すっぱり諦める。リベンジしたい気持ちもわかるんですけど、植物の立場になって考えたらとてもリスキーだし、可愛そうですよね。そのルールを守り続けてきたおかげで、自然とうちにあった子だけが集まるようになり、枯らしてしまうことも少なくなりました」

コーディネートした植物の“島”を点在させ部屋作りに奥行きを。

植物もインテリアピースのひとつとして部屋作りを実践しているというSHINPEIさん。しかも、聞けば入居からたった1年程度で、ほぼ今の状態が完成したという。それはもちろん、インテリアのプロとしての知見があったからこそ。そんなプロ目線での植物コーディネートのコツを聞いてみた。

「植物をコーディネートする際は、いかにその場所にマッチした方法で飾るかを考えます。ひとつしか鉢が置けない場所には、単体で置いて引き立つ樹種を。ある程度スペースに余裕がある場所には、複数の植物をまとめた“島”として飾るようにしています。僕の中では、この“島”で飾るというのがポイント。いきなり全体をバランスよく飾ろうとしても難しいですが、ある一定の塊で葉の形状や色を使い分けてコーディネートすれば、だいぶやりやすくなりますからね。そういったコーディネートされた塊を点在させることで、部屋全体に立体感が生まれるんです」

「レイアウトという意味では、大前提として、生活動線の邪魔にならないことを心がけています。そういった中でも、例えばベッドの上やテーブルの上など、人が通ることのない場所には、かなり低い位置でハンギングしていますね。動線として邪魔にならないけど視覚的な効果は高いので、おすすめですよ」

ここで、その他の家具や雑貨についてもセレクト基準を聞いてみたが、意外にも、その点についてはあまり深く考えていないそう。曰く、そのタイミングで気になったモノを買い揃えて、バランスを見ながら配置しているだけだとか。なぜなら、結局は同じ人間が選んでいるモノだから。自分の趣向に素直でさえいれば、最終的にマッチしてくるはずだというのが、その根本的な考え方だ。結果として、服もインテリアもヴィンテージな雰囲気が好きだというSHINPEIさんらしい統一感が生まれている。

成長していく過程も楽しめる万能インテリアピース。

最後に、「植物とはあなたにとってなんですか?」という質問を投げかけてみたところ、SHINPEIさんは少し悩んで、こう答えてくれた。「やっぱり、オブジェというか、インテリアピースのひとつですね。僕にとっては、それ以上でもそれ以下でもないかな。すいません、もう少しいい言葉が出ればいいんですけど(笑)。だけど実際、インテリアピースとしてグリーンは相当優秀だと思いますよ。無意識に置いただけでも不思議とハマってくれるし、部屋の景色を一気に瑞々しくしてくれる。そういう万能性が植物の魅力だし、そんな便利なインテリアは他にないですからね」

「手入れが大変なんじゃないかとよく聞かれますが、特にそんなこともなくて。葉水も毎日あげていますが、圧縮スプレーを使えば5分かからないし、まったく苦になりませんね。そんなことより、あふれる植物で飾られた空間を眺めながら、夜な夜なひとりでお酒を飲んでる時間は、本当に贅沢だと思います。まぁでも僕の場合は、見れば見るほどディテールが気になってきて、逆に落ち着かなくなることもあるんですけど(笑)。けどそれも含めて、やっぱり植物で部屋を飾るのは楽しいですね」

日々の手入れという部分では、剪定の頻度なども気になるところだが、そこに関しては完全なる放任主義。実はSHINPEIさんは、まったく剪定をしないのだとか。当然植物は成長し続けるが、日々変わりゆく様も、部屋全体がグリーンに侵食されていくような感覚も楽しみのうち。成長する唯一無二のインテリアピースとして、むしろ剪定をしないことにこそ、醍醐味を感じている。

コレクションの対象として、愛でる対象として、癒やしの対象として。ひとことに観葉植物と言っても、そこに何を求めるかは人それぞれ。SHINPEIさんの場合は、空間をコーディネートするための成長するインテリアピースとして、時に真摯に、時にカジュアルに、植物たちと向き合っている。必要以上に肩肘張らないスタイルは、これからグリーンライフに挑戦しようと思っている方々にとっても、いいお手本になったのでは?瑞々しい生命力があふれる部屋作りは、きっと、生活そのものに豊かな彩りを与えてくれるはず。

  • Photo/Kiharu Karube
  • Text/Satoshi Yamamoto
LL MAGAZINE