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バイクガレージをDIYし、日常的に趣味を楽しむ。
GARAGE LIFE 2023.04.24

バイクガレージをDIYし、日常的に趣味を楽しむ。

日常を特別にしてくれるアウトドアリビングを採用したり、自宅の一角にサウナをビルドインしたり、壁に防音材を敷き詰めて部屋を丸ごとライブスタジオしたりと、大きく様変わりしている家の在り方。そこでLIFE LABELでは「◯◯◯ in da house」と題し、自宅に”好き”を体現する人たちの“趣味部屋”を取材。好きなモノ・コトに軸足を置いたライフスタイルの魅力と、家づくりのヒントを学ぶ。 自由な発想で、暮らしを豊かに。住まいのカタチは無限大だ。

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中村 泰規さん
中村 泰規さん
なかむら・たいき|1996年、群馬県生まれ。高校2年生の頃、とある革細工店・店主と出会い、ものづくりの世界に魅了される。本職は理容師。仕事の合間を縫って、木工・革細工を楽しむ。革細工の腕前はレザークラフトコンテストに入選するほど。さらに2021年には<Kawasaki>の250TRを手に入れ、バイクカスタムも趣味のひとつに。

空いた“一台分”の車庫をガレージ工房に改装。

中村さんの趣味空間が完成したのは、2020年の冬のこと。

「以前まで実家の車庫には弟もクルマを停めていたんですけど、そんな弟が結婚を機に出て行ったのでクルマ一台分のスペースが空いて。それで家族の了承を得て、約4ヶ月をかけて自身の趣味を満喫できるガレージ工房へと造り変えました」

群馬県の片田舎で生まれ育った中村さん。実家の目の前には緑豊かな田園風景が広がり、適度にワインディングする国道が横断する。

この開けた大地と、どこまでも続くような広い空、そしてメロウな時間が流れる彼の地元は、ツーリングエリアとしても非常に人気が高く、中村さんもまた、束の間の休日を利用しては愛車に跨り、バイカーライフを満喫している。

バイクガレージを自作し、日常的に趣味を楽しむ。

「できるだけ存在感のないハンドルにしたくて」と、ハンドルだけでも5回のカスタムを施したそう。

「バイクにハマる前、仲間内で謎の海釣りブームがあったんですよ。もちろん僕も、釣り道具を一式調達して参戦しました。けれど、群馬は“海なし県”なので趣味として続けるにはやっぱり相性が良くなく……。結局、数回ほどして海釣りブームは過ぎ去りました。すると今度は、『みんなでバイクの免許を取ろう』と。軽いノリから急にバイク熱が高まり、免許を取得してすぐに<Kawasaki>の250TRを購入しました」

“足し算だけでなく、引き算も”。これはバイクカスタムにおける美徳である。かくゆう中村さんの愛車も「プロダクトとしてよりシンプルに。極端な話、チャリみたいな見た目にしたいんです」と、不要なパーツやフレームは徹底的に排除され、250TR本来の面影はもうない。

生活の中心が“ものづくり”。実家の離れにはレザークラフト工房も。

波板でセパレートする前の既存ガレージの状態。

正面のガレージシャッターとは別に、片開きドアをサイドに設置。

彼のもとに250TRが納車されたのは、2021年の夏。時系列で言えば、バイクを手にする半年ほど前にこのバイクガレージは完成している。

「今でこそバイク置き場として活用していますけど、もとは“ものづくりの拠点”としてこのスペースを作ったんですよね。というのも僕には、バイクよりも前から打ち込んでいる趣味がありまして。それが、木工と革細工です」

「高校生のときって、ハイブランドの財布を持つことがステータスだったりするじゃないですか? でも当時の僕にはそれがなく、ハンドメイドによる“一点もの”の方に興味があったんです。それで高校2年生の頃、とある革細工屋に通い始め……。そこから僕のライフスタイルはガラッと変わりました。木工や革細工、そして今ハマっているバイクのカスタムも、実はその革細工屋の店主に影響されているところが大きいんです」

彼のいう“とある革細工”とは、群馬県館林市に店舗を構える手縫革細工<GRANDZERO(グランドゼロ>。その店のオーナーは、レザークラフトの技術はもちろんのこと、内装も自ら行い、溶接もこなす。そのため、バイクのカスタムも一流の腕前なんだそう。

バイクガレージを自作し、日常的に趣味を楽しむ。

自作したクラフト用デスクを床の間にビルドイン。右隣の元・押入れにはレコードプレイヤーを設置し、いつでも好きな音楽が聴ける環境に。

「この部屋は、その革細工屋の店主に憧れるようにして始めた、クラフト作業を楽しむための僕の工房です。中学生の頃は、よくここでドラムの練習もしていました」

もともと曾祖父が暮らしていたという、実家の離れ。築年数は軽く40年を経過しているだろうか。

汚れてもいい作業スペースが欲しかった。

「リノベーションを開始したのは、高校3年生のときです。ここを溜まり場にしていた仲間たちが受験勉強に励むなか、僕は理容の専門学校へ進学が決まっていたのでとにかく暇をしていて。何もすることがないから、『じゃあ、壁をウッド化にしようかな』と。一日中ひたすら板を打ち込み、1〜2週間ほどでこの壁は完成しました。今見返すと、土壁の上にそのまま板を打ち込んでいるだけなので多少ガタガタしてますね(笑)」

見よう見真似で革細工を始め、ちゃんとした“レザー小物”を初めて作ったのは専門学生時代。今はもう手元にないんですけど、二つ折りの財布とコインケースが僕のデビュー作です。なけなしのお金でクラフト工具を買い揃えていたので、その出来はハリボテでしたが、当時は形になるだけで嬉しかったですね」

社会人になると、趣味に充てるお金に余裕ができ、クラフト工具を一式取り替えたという中村さん。それを機に、革細工の世界へどんどんのめり込んでいく。

「社会人なってからは、毎日のように革細工をしています。でも、革って作業中に結構ゴミや汚れが出るんですよ。次第に、クラフト後の掃除が面倒くさくなって。それで『汚れてもいいように』と、車庫にガレージ工房を作ったんです」

材料として購入する牛革は、ときに1メートルを超える半裁も。ガレージ工房に作った小がりは、そんな牛革をカットするのに活躍するという。

作業部屋であり、好きなものを保管するコレクションの場。

素早くツールを持ち替えられる、磁石でくっつくツールホルダー。

吊り下げ収納に便利なワイヤーネットを壁に固定。

「アメリカンガレージっぽくしたかったので、荒っぽさが魅力のOSBボードを内壁にセレクトしました。最初はもっとシンプルな造りにしていたんですけど、使っていくうちに『収納スペースが欲しいな』と思うようになり、棚板を取り付けたり、自作したディスプレイケースを直留めしたりしました」

ガレージ工房には「メモリがインチなので使えないんですけど」とアメリカ製の<ミルウォーキー>のスケールをディスプレイ。クラフト工房にも実用的な工具とは別に、好きな“アメリカンカルチャー”を感じさせるコレクションを所狭しにレイアウト。

「ゆくゆくは、理容師を軸にレザークラフトを扱うお店をやりたいんですよね。そしてそのお店に、自分の好きなものを置けたらいいなと考えていて。ここに飾ってあるグッズなんかは、その“いつか”のために保管している部分もあるんです」

人生は一度きり。趣味に没頭する、豊かなライフスタイル。

仕事がある日は、夜の9時から寝るまでひたすらクラフト工房にこもり、革細工に没頭。ツーリングの予定が入ると、バイクガレージで愛車のメンテナンスと、空き時間を見つけては趣味に時間を費やす中村さん。「仕事柄、朝早いのでほどほどにしないといけないんですけど」と自身に杭を刺していたが、続けて「好きなことって、つい夢中になって時間を忘れちゃいますよね」と、彼は頬を緩める。

日々の疲れを癒し、ストレス解消やリフレッシュにも効果的といわれる“趣味”にかける時間。暮らしの質を高めるために最新家電を導入したり、インテリアを見直すのもいいけれど、趣味を自由に楽しめる空間が家にあれば、毎日がもっと楽しくなるはず。

その趣味の時間は人生を謳歌するのに大切なエッセンスになるのだから。

  • Photo / Ryosuke Yuasa
  • Text / GGGC
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