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空間を有効活用。郷土玩具が主役の家。
ART & MUSIC 2019.12.02

空間を有効活用。郷土玩具が主役の家。

切り絵作家 YUYAさん&パン・お菓子研究家 スパロウ圭子さん

「好き」を暮らす

ユニークな内装建材で人気の「toolbox」と一緒に、LIFE LABELでは「住む、が一生の趣味になる」をテーマにしたコラボレーション住宅「ZERO-CUBE TOOLS」をスタート。そこで、家族の「好き」を追求し、心地いい暮らしを送るさまざまなご家族を訪問。好きが詰まった暮らしのヒントを教えてもらいます。第3回目は切り絵作家YUYAさんとパン・お菓子研究家スパロウ圭子さんのお宅をお邪魔しました。

コンパクトな住空間を
郷土玩具が飾れる住まいに

YUYAさん(切り絵作家)スパロウ圭子さん(パン・お菓子研究家)

大好きな郷土玩具に囲まれて、
2人の仕事の制作現場に

切り絵作家、イラストレーターとして広告やカタログ、ロゴザインなどで活躍するYUYAさん。パンやお菓子の研究家として「食のアトリエ・スパロウ」を主宰するスパロウ圭子さん。異なるフィールドで活動する2人は、「アトリエ・フォーク」と名付けた自宅兼アトリエで、月1回のオープンアトリエを開催し、切り絵作品や天然酵母パンなどを販売します。

どうしても心惹かれる
人生の「好き」を3つ

YUYAさんとスパロウ圭子さんには、自分の人生において外せない「好き」があります。それは、郷土玩具、空間を活かした暮らし、さまざまな人のおもてなし。それらをコンパクトなアトリエ兼住居でも展開できるように、収納に特化した家づくりを目指しました。

駒沢のマンションで暮らしていた2人は、2015年に東中野の一軒家を購入。収集した大好きな郷土玩具を飾れる場所をつくり、YUYAさんの作品を展示し、圭子さんのパン教室も開催できる、それが新しい住まいの大切なテーマでした。

見ると気持ちが穏やかになる、
そんな郷土玩具を大切に飾りたい

3階の屋根裏部屋にのぼると、誰もがアッと驚く空間が広がっているYUYAさんと圭子さんの住まい。屋根裏部屋の壁一面には作りつけの棚があり、郷土玩具が1つずつ丁寧に飾られています。

「全国各地で集めてきた郷土玩具を並べたくて、自分で図面を引き、家具職人の友人に制作してもらった棚なんです。郷土玩具ありきでこの家を選んだので、内見に来たとき、ここを飾るスペースにしよう!とイメージが膨らみました」と話すYUYAさん。郷土玩具だけでなく、お菓子や民芸に関する本もズラリと並び、この場所はすっかり夫婦の趣味の空間。中央にテーブルとイスを配して、訪れた人とお茶をのめるスペースもつくりました。

「仕事も生活もこの家なので、だからこそ、息抜きのスペースは大切。ここで食事をしたり、お茶を飲んだり、気分転換の場所になっています」と圭子さん。また、どこかに出かけるたびに増えていく郷土玩具は、やみくもに購入するのではなく、どこに飾るかしっかり考えて買っているそう。「縁があって我が家に来てくれた子たちなので、箱の中にしまっておくのはかわいそうでしょ? 全員きちんと飾ってあげたいんです」と話す圭子さんから、郷土玩具を愛しく思う気持ちがこぼれていました。

コンパクトな空間を
有効活用するため、
ピースをはめ込むように設計

2階には仕事場としてそれぞれのデスクを並べ、作業ができる空間に。隣のリビング兼寝室と仕事部屋には扉がなく、地続きになっているので、狭さを感じることなく使えているそう。

「限られた空間なのでしっかり有効活用しようと、まるでパズルのピースをはめるように、ここにこれを置こうと細かく決めていきました。本棚は床に置くと空間が狭くなるので、いっそすべて上にしようと収納棚を上部に設置したんです。目線より上に収納スペースを作ることで、圧迫感がなくなりました。でも、洗濯機を置く場所がどうしても見つからなくて。最終的に、階段の踊り場の奥なら唯一置ける!と気づき、我が家の洗濯機はなんと階段前にあります(笑)」と、YUYAさん。もともと建築の仕事をしていたので、その知識がこの家づくりに役立ったと話します。

そして、仕事場にも潤いが欲しいという気持ちから、郷土玩具を置く飾り棚をYUYAさん自身が制作。国や作家に関係なく、目に映るたびにホッコリする郷土玩具を選んで仕事場に並べました。また、圭子さんのデスクも自ら手がけ、至る所にYUYAさんの自作家具が並んでいます。「もともと物づくりが好きなんです。この家でデスクや棚を作れて楽しいですよ」と笑顔。狭い空間も工夫次第で住みやすい空間になることを教えてくれました。

展示作品と美味しいお菓子、
愛嬌ある郷土玩具でおもてなし

「自宅でパンやお菓子の教室を開きたい。そして、夫の作品を展示する場所も欲しい。そう思っていたので、玄関あがってすぐの1階は、そのどちらも備えた空間になっています」と話す圭子さん。1階では玄関先にダイニングが広がり、片方の壁にYUYAさんの切り絵や購入できる商品、もう片方の窓には飾り棚を配置して、かわいらしい郷土玩具や作品が訪問客を出迎えてくれます。

「月に1度はオープンアトリエとしてここを開放しているんです。そこで、私の焼いたパンやお菓子、夫の作品を販売していて。他にも、パン教室や切り絵のワークショップなど、不定期でイベントを開催しています。もともと人をもてなすのが大好きなので、以前の家は住むだけだったんですが、ここでは住む以外にも、仕事やおもてなしの場として使いたくて。こういう使用方法に行き着きました」と嬉しそうな圭子さん。

また、奥のキッチンは、圭子さんの大切な秘密基地に。パンを焼く専用オーブンを絶対に入れたかったので、ここでもパズルのピースをはめていくように、オーブンや発酵機、冷蔵庫、水回りなどを、配置できるサイズを考えながら厳選していったそう。「道具や器もたくさんあるので、ちょっとした隙間にも棚を作ってもらっています」と圭子さん。キッチンの食器もすべて見せる収納。モノに対する愛情が、家の間取りからも伝わってきました。

これからの住まいの
楽しみ方は?
自分と家族の
「好き」の新しいカタチ

自分たちの“心地いい”をたくさん詰め込んだ住まいも、時間の経過に合わせて、その姿は多様に変化していきます。ライフスタイルに合わせて必要な空間をチョイスできる「ZERO-CUBE」に住むなら、どんな使い方をしたいのかをYUYAさんと圭子さんに聞いてみました。

「私はスカイバルコニーで、朝の時間を楽しみたいですね。大きなテーブルを置いて、そのまわりをグルッとグリーンで囲んで。清々しい朝食のひとときを屋上で取りたいです。屋根がないから、雨が降ったら無理だけど、晴れた日の楽しみにひとつとして使いたい。その横に鳥箱を設置してエサも置いて、スズメに来てもらえるスペースも作りたいです。朝ごはんを食べながら、スズメと過ごせるって最高ですね」と圭子さん。“スパロウ圭子”という名前もスズメ好きから来ているそうで、大好きなスズメと過ごす時間が欲しいと言います。

一方、YUYAさんのチョイスは、「ZERO-CUBE」の吹き抜けスペース。階段上の吹き抜けスペースと自然光が入る大きな窓を利用して、明るい空間で自分の作品や郷土玩具を飾りたいと話します。「もともとキューブ型のイームズハウスが好きなので、こういった四角い箱の家を見ると、壁一面に作品を並べて、はしごを使ってそれを取ったり、並べたり、掃除できたら楽しいだろうなぁ、と。階段を降りながらいろんな作品を眺められて素敵ですね」とのこと。

圭子さんは「スカイバルコニー」をモーニングのスペースに。スズメの巣箱を配置して、明るい陽射しの中でスズメの声とともに食事をしたいそう。
YUYAさんは「ZERO-CUBE」の吹き抜け部分を利用して、郷土玩具や作品をズラリと展示。その横にはしごを掛けて、いつでも模様替えできる仕様に。

限られた空間で郷土玩具を飾り、そこでさまざまな人をおもてなしする。YUYAさんと圭子さんの好きが詰まったアトリエ兼住居は、これからも愛らしい郷土玩具を増やしながら多くの人を楽しませてくれるスペースになりそうです。

PROFILE
YUYAさん、スパロウ圭子さん

切り絵作家として活動する夫のYUYAさんと、パン・お菓子研究家「食のアトリエ・スパロウ」を主宰する妻のスパロウ圭子さん。2人で「アトリエ・フォーク」として活動し、月に一度のオープンアトリエでは切り絵作品やパン、ジャムを販売。 http://atelier-folk.com/

photographer 原田教正 writer 仁田ときこ
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