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ヴァンライフを楽しむ、車内空間スタイリング
CAR 2022.06.16

ヴァンライフを楽しむ、車内空間スタイリング

イェンス・イェンセン/著述家

デンマークで生まれ育ったイェンスさんにとって、住居というのは古くなったら建て壊すものではなく、リペアをしたりカスタマイズをしながら、より自分たちらしい空間にしていくものだそう。自然、車にもそんな視点は生きていて、アウトドア好きな彼は何とバンを改造して、世界にふたつと無いキャンピングカーをつくりあげた。もちろんそこには、彼のこだわりや心地よく過ごすための工夫が盛り沢山。ここ日本で暮らしながらも北欧の精神を忘れない、彼の愛車にフォーカス。

INFORMATION
イェンス・イェンセン(著述家)
イェンス・イェンセン(著述家)
イェンス・イェンセン|1977年生まれ。自然に囲まれたデンマークの田舎町で、教師だった両親の下、古い学校をリノベーションした家で育つ。大学で日本語を専攻し、卒業後の2002年に来日。デンマーク大使館に勤務し、以降は様々なメディアで編集・執筆業などに携わるなど、型にははまらず精力的に活動中。現在は日本人の奥さんと、ふたりの息子さん、愛犬と共に鎌倉で暮らす。自身が手掛けるキャンプ仕様のヴァンは一般販売も予定していて、詳細は下記のインスタグラムより。

DIYで作ったヴァンで、息子とのかけがえのない時間を過ごす

土地の起伏は少ないけれど、自然の多いデンマークで過ごした幼少期、イェンスさんの大きな楽しみのひとつが、長期休暇に両親と共に車でヨーロッパ各地を巡ったり、キャンプへ繰り出すことだったのだとか。
自身が子供たちと暮らすいま、そんな原体験の記憶も手伝ってか、自然と周遊やオートキャンプへ行くように。

かねてからヴァンライフやタイニーハウスへの興味があり、ついに一念発起。空間設計から施行までをすべて自分たちの手で、わずか2週間という短期間で行ったというから驚き。「昨夏はこのヴァンに男3人で乗り込み、16日間かけて知り合いのいる宮崎を訪ねました」。ちなみに奥さんは「アウトドアより自宅が好きみたい(笑)」とのことで、大抵お留守番。

マツダ ボンゴブローニイバン。2010年まで生産されていたロングボディバン。

イェンスさんの愛車は2004年式で、「マツダ」が自社生産を行っていた時代のもの。後輪が小さいため、車内後方のスペースのロスが少ないのがポイント。

【POINT①】昼はソファに、夜はベッドに。ギミック満載の居住スペース

滞在先、車内でもっとも多くの時間を過ごすのが後方にあるこの一画。ウッドのテーブルにキャンバス張りのソファという、ナチュラルな質感が落ち着くダイニングだ。実はこのテーブルとソファは取り外しができ、天板をソファの間に渡し、その上に座面と背もたれを並べるとフルフラットのベッドに早変わり。男3人が川の字で寝られるようになる。

就寝時にはこの通り。このクッション材のベースは「イケア」のマットレスで、それを縦に4等分し、知り合いに頼んで専用のカバーを制作してもらったもの。「意外と寝心地も悪く無いですよ。実際使ってみた反省点としては、横方向にもセパレートさせておいた方が扱いやすかったかも、という部分かな」。

座面の下部分は収納になっていて、枕やシーツ、その他の日用品はここに収まる仕組み。限られた空間を無駄なく使うための、イェンスさんのアイデアだ。「このレイアウトや間取りを決めるまでが大変でした。実際に作業を始めてからは、スムーズに進みましたね」とイェンスさん。

【POINT②】炊事も可能なキッチン周りにも配慮が多数

旅の途中、キャンプサイト泊などをする際には外でバーベキューを行うことも多いが、車内にはシンクと水道、コンロが設けられているため、ここで調理をすることも可能。コンロは2口で、水は20リットルのタンクを2つ据えていて、給水・排水も安心して行える。

「でも、実際に旅をしてみたら日本は給水できる場所も多いし、20リットルも要らなかったなと思っています。旅先の色んな名水を汲んだりできるから、こまめに補給するのも楽しんですよ」。ちなみに、ブローニイバンは左右両方のドアが開く珍しい仕様。当初はあまり気に入っていなかったこのつくりも、「電気のケーブルやタンクを扱う上でめちゃくちゃ便利です」と今では欠かせない機能に。

「SOTO」のテーブルトップ型バーナーはカセット式なので、固定せずにそのまま屋外へも持ち出せるのが便利。外で焚き火をしながら、こちらでパスタを茹でたりと、小回りが利くので重宝している模様。

台をボンベの位置に合わせてくり抜いているため、定位置に据える場合は足をたたんで使える設計で安定感もたっぷり。「実はこれ、元々自宅のコンロとして使っていたものなんです。家が山奥だから都市ガスが来ていなくて。プロパンよりもこっちが楽なんですよね」。

【POINT③】バッテリーとソーラーパネル どちらからも給電

車内にはコンセントも設けていて、水道や換気扇なども電気で動くため、イェンスさんのバンライフには電源の確保が不可欠。そんな電力をカバーしているのが、走行しながら充電していく車載のバッテリーと、ルーフトップに備わるソラーパネルだ。このふたつがあるので、電気が足りないという事態にはほぼならないとのこと。

「少し前までは100vの冷蔵庫を積んでいたから電気の消費も大きかったけど、1日、2日くらいのトリップだったらクーラーボックスで十分だとわかりました。今はイエティのクーラーボックスが冷蔵庫代わりです」。

ウッドパネルの内装にマッチする小ぶりな電球の照明も、両方の電源から電力を賄える。調光機能が付いているため、その時々のシチュエーションに合わせて空間のムードも変えられるのがさりげなく粋だ。

ダイニング上に設けた換気扇は、実は一番最初はなかった設備。「一度、仲間とこの中でチーズフォンデュをやったら、煙がすごくてこれはヤバいとなって(笑)。そこから急遽排気設備が必要だということで、これを取り付けました」。

道中、車内で作業に勤しむイェンスさんは大抵の場合、大きな体を丸めながら、このイスに座っている。アジの出た風合いは出自たる北欧のアンティークか何かと思いきや、「日本で見つけました。多分、幼児用だと思います」とのこと。

目的のない旅にもってこいの頼れる相棒

目的地以外はルートも日程も決めず、息子たちと共にする旅路は、毎回予想外の出来事の連続だが、ただ同じ時間を過ごして、共同作業を行なっているだけで、多くの言葉は交わさなくても自然と絆は深まっていく。「去年は南だったから、今年は北海道に行きたいねって、息子たちと話してるんですよ」。息子二人は、思春期真っ只中の難しいお年頃。だけど、このバンの出番は、これからますます増えていきそうだ。

  • Photo/Masashi Ura
  • Text/Rui Konno
LL MAGAZINE