やつい いちろう×小沢 一敬(スピードワゴン)俺式!家で夏フェスを楽しみつくす方法
夏のエンタメといえば、音楽フェス! 最近は配信が充実して、家でも好きなアーティストのステージが見られるようになり、繋いだ瞬間、家がフェス会場に早変わりする。リアルもいいけど、家だからこそできる楽しみ方もたくさん。そのヒントをもらうために、音楽好きの芸人・やつい いちろうさんとスピードワゴン・小沢 一敬さんに、“家フェス”の魅力や、“もしも家でフェスを楽しむなら?”の妄想タイムテーブルを聞いてみました。
- やつい いちろう
- やつい・いちろう|1974年三重県生まれ。相方の今立進とお笑いコンビ、エレキコミックを結成。DJとして作品をリリースしながら、自身でエンターテインメントフェスティバル「YATSUI FESTIVAL!(やついフェス)」を主催している。プライベートや仕事でほとんどの音楽フェスに参加した経験を持つ。「夏はTHE BLUE HEARTSの『DUG OUT』を聴いてはじまり、サニーデイ・サービスの『サマー・ソルジャー』を聴いて締める」と語る。
- Instagram - @yatsuiichiro
- 小沢 一敬(スピードワゴン)
- おざわ・かずひろ|1973年愛知県生まれ。相方の井戸田潤とお笑いコンビ、スピードワゴンを組む。大の音楽好きと知られ、特にTHE BLUE HEARTSを「彼らの音楽を義務教育にすべき」と語るほど支持している。甲本ヒロトと真島昌利が所属するTHE HIGH-LOWS、ザ・クロマニヨンズの熱烈のファン。フェスやライブは「壊れたいし、壊れるのが見たい」から行くと語る。ちなみに、バンドTはネックをカットして着るのがマイ・ルールとのこと。
- Instagram - @ozawakazuhiro
フェスって誰もが伝説の証人になれるんだよね。
夏フェスっていうとさ、今はフジロック(フェスティバル)のように海外からアーティストを呼んでたり、ライジングサン(ロックフェスティバル)のようにキャンプできちゃったりする、いわゆる4大フェスをイメージするけど、我々が学生の頃から日本にはフェス的なイベントはあったよね。小沢くん、行ってたんじゃない?
そうそう。俺が中学生のときに、名古屋で毎年5時SATロックウェーブっていう野外ロックフェスがあって、行ってたよ〜。(※1981年〜1993年に中京テレビが放映していたバラエティ・音楽番組「5時STAマガジン」が開催していた音楽フェス。2019年に35年ぶりに復活した)
懐かしい。人気のバンドが出ててね、盛り上がったよね。自分たち世代の最初のフェス体験。
俺の思い出に残ってる年があって。88年とか89年。ちょうどLAUGHIN’ NOSEが『MEAT MARKET』っていうアルバムを出して、すごく人気だったの。ラフィンのステージに音楽好きやパンクスが集まって、めちゃくちゃ盛り上がったのよ。
名古屋はパンクシーンがアツいからね。すごそうだね。
異常な盛り上がり方をして、この後に出てくるバンド、やりづらいだろうなって誰もが思ってたんじゃないかな。ラフィンの演奏が終わって、MCの大竹まことさんが言ったの。「ラフィンの後を任せられるやつはこいつらしかいない! いんぐりもんぐり!」って!大好きなんだけど、名前の響きがね、ちょっと面白かったのよ。
いんぐりもんぐりさんも人気だったよね。レギュラーたくさん抱えてたし。まあね、ちょっと名前がコミカルに聞こえるときがあるかもね。ちなみに今は、イングリーズに改名してます(笑)
やついくんのフェスの思い出は?
僕は2015年のライジングサン、安全地帯のステージですね。最初の10分、DJタイムがあって、しかも玉置浩二さんの奥様、青田典子さんが踊っていて。15分くらい待って、待望の演奏が始まるんだけど、「じれったいから」からで始まり「悲しみにさようなら」、名曲が続きます。そして、一度終了。
それ、いろいろシビレるわ〜。
そして、アンコールは玉置さんひとり。アコースティックギターを持って「田園」を歌って、それから生声で「夏の終わりのハーモニー」。ライジングサンでいちばん大きいステージで遠くまでお客さんがいるけど、ステージも降りていて、僕のいるあたりではもう聴こえなくて。みんな必死で聴こうとしるから、シーンとしちゃって。夏フェス史上、いちばん静かなオーディエンスだったんじゃないかな。
すごい体験したね。やっぱり夏フェスって、伝説を観に行くところ。
予想できないことが起きても、「すごいもん観た」って楽しめるんだよね。
曲を知らなくていい。意外な出会いこそ面白いから。
その場で起きてることを生で体感できるのが、夏フェスの魅力ってことだね。
アーティストも、自分が目当てじゃなかったり、観たことのないいろいろなバンドや人に巡り会えるのがいいんだよね。偶然通りかかって耳にしたり、すれ違う人の「あのバンドすげぇカッコいいんだよ」みたいな評判を聞いたりして聴きに行くと、いいじゃんって。
それはすごくわかる。人が集まってるステージは聞いておこうってなるし。
コアなファンにもそのバンドも知らない人にもパフォーマンスが支持されてるっていう、生の現象を目にすることができるんだよね。
なるほどね。あと、たぶんソロライブとも雰囲気が違うしね。
自分が開催しているやついフェスも、そういう楽しみ方ができるように、芸人やバンド、アイドルを招いた総合的なフェスを意識していて。雑誌やYouTube動画も専門、専用が増えてきていて、便利だけどやっぱりジャンルを越えて、意外な出会いをしてもらいたいと思ってる。
好きなものを突き詰めるのも素敵だけど、フェスならそんな出会いを求めた方がきっと楽しいよね。
あとさ、夏フェスで見られる現象でいうとさ、青春ドラマのようなシーンがリアルに目の前で起こるんだよ。けっこうドキドキしちゃう。女の子が天真爛漫に踊ってて、その後ろで男たちがちょっと控えめに踊ってて、その子が後ろを振り返りながら「楽しいね」って微笑んでる画、普通にあるからね。
いいな〜その感じ。
その後ろからおじさんが見てるといろいろわかっちゃう。こいつ、この子のこと好きだな。でも、意識しすぎてうまくいってないなとか。あと髪の毛にお花をつけすぎる子、無邪気装いがち。小沢くんのコントみたい。
ちょっと誇張しちゃってるやつね。
そして、「なんか楽しいね」とか言う。なんかじゃなくて、フェスきてるからじゃん!理由はっきりしてるじゃん!
悪い面、出ちゃってるよ!途中までいい話してたのに。まあ、一回落ち着こう。
家なら、全裸でフェス観てても怒られないよ。
やついフェスも配信やってるから、家で観られるんだよね。家フェスならではの楽しみ方もある。
そうだね、配信だとアーティストの顔や様子をちゃんと観られるのはすごくいい。リアルのフェスでも遠いとモニターを観てることも多いし。自分はフジロックの配信見たよ。
出演者の表情見たいよね。野球も家で観戦すると選手ひとりひとりの様子がわかっておもしろいんだよね。
場所や時間に縛られない分、スポーツと同じように今やっているタイミングで観て、ハラハラドキドキしたくなる。
あと、自分は自宅にいるときは服を着ないんだけど、全裸で観られるのはいいよな。裸で会場に行ったら怒られるしな。写真撮られたら終わりだ。
怒られるっていうか、ダメだよ、絶対に。そういう意味では、俺もお風呂にスマホ持ち込んで全裸で観てる。半身浴でリラックスして。
家ならではだね。だから、今年はあえて上着をちょっと着ようと思ってる。いや、靴下からにしようかな。
裸に靴下はいちばん滑稽だよ!つまり、自分の好きなように、快適な状態で観られるってことね。
そう、自由で快適っていうのがポイント。それこそ、「今アーティストのステージやってるから一緒に観ない?」って好きな子をフェスに誘って、家に呼ぶのもアリだよね。フェスを観終わった後は「本当のフェスティバルはこれからさ」って言って……。
って、甘―い!悪い面、出ちゃってるよ!
ごめんなさい。あと、飲み物も食べ物も自由に用意できるから、いつもよりいいお酒やごはんを準備するのも楽しい。
自宅でレモンチェッロを作ってて、うまくて最高なのよ。冷凍庫で冷やしてとろとろにして、ソーダ割りにして飲むの。それはフェスには持っていけないからな。
来年の夏に向けてお酒を仕込んでいくっていうのもいいじゃん。家フェスで外を感じたくなったらベランダに出て、飲んだり食べたりしながら音楽を聴くのも気持ちいい。
コロナ禍になった当初は、けっこうベランダにテーブルを出してごはんを食べてたけど、家だけど外にいる特別な空間って思った。ベランダでバーベキューとかホットプレートやりながら観たら、ほぼ野外フェス。
フェス、というか音楽って素晴らしいな〜。
さっきフェスの楽しみ方として、会場ですれ違う人の評判を聞いて、知らないバンドのステージを観てみるって言ったけど、家フェスならそれをTwitterでできる。リアルタイムで検索していって、盛り上がってるアーティストをザッピングしてもいい。
なるほどね。配信ならちょっと観に行くってことが簡単にできる。家フェス、いいね!
日常の中に自分だけの特別なフェスを作っちゃおう。
ねぇ、家フェスをやるとしたら、どういう一日にする?2人で考えよう。
一緒に考えましょう。
フェスって何時くらいから始まるっけ?
10:30、11:00くらいからかな。
そのくらいから組み立てていこうか。やついくん、細かくスケジュール書いてみて。
やつい いちろうが考える、俺式・家フェスタイムスケジュール
フェスは11:00からでも、自分の一日は5:00に始まる。朝ごはんはライジングサンで食べた朝ごはんを思い出すセロリときゅうりの生野菜とマヨネーズと。12:00からベランダにフルフラットのキャンプチェアを出して、ゆるっと配信を鑑賞。お昼は、自家製のレモンチェッロのソーダ割りを片手にホットプレードで大好物のジンギスカン焼こうかな。途中、無理せず昼寝を挟みながらゆっくり過ごす。暑い日ならビニールプールを出して遊ぶのもいい。20:00くらいに早めに切り上げて、そのまま家族と花火をすると、夏も感じられて最高!
ライジングサンより早くライジングしてるじゃん! あと、ジンギスカンは煙が出るから、隣人や管理人の許可は取った?
小沢 一敬が考える、俺式・家フェスタイムスケジュール
やついくんのスケジュールを横で見ていて驚いたんだけど、俺もまったく一緒なのよ。ひとりでいるのが嫌だから、朝から後輩を呼ぶ。お客さんが来るときは全裸じゃないので、自分のフェスTを着る。ごはんは出前館にお願いするとして、みんなでゆったりダラダラ。みんなが楽しんでる姿を見るのが好きで、安心して眠たくなっちゃうんだけど……。家フェスの話だけど、つい海に行きたくなっちゃう。海の家もダメ? ……自宅に限るということで、ギターを弾いてみんなで音楽に浸る、と。2人以上いたら、そこはもうフェス会場だよ。
ほんとに同じだったの?みんなで集まると意外に話さないよね。周りを見ながら、本読んでるから。でも、人がいるところにフェスは生まれる。小沢家フェスも楽しそうだな。
音楽を心から愛する2人だからこそ聞けた、フェスの楽しさと新しい夏の過ごし方。場所的に、時間的にフェスに行けない人も、また一部の日程しか参加できない人も、家フェスでより充実した夏を迎えられること間違いなし。いつもの生活では味わえない、やついさんや小沢さんがいう“伝説や意外な出会い”を体験してみてほしい!
- Photo/Hisanori Suzuki
- Text/Hisamoto Chikaraishi[S/T/D/Y]
- Design/Kentaro Inoue(CIRCLE GRAFH)
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