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それは刺激と癒し。植物とアートが溶け合う住まい。
GREEN LIFE 2022.11.18

それは刺激と癒し。植物とアートが溶け合う住まい。

リモートワークが一般化した今、住まいは暮らしの場所であるのと同時に仕事の場所。すると、とりわけ集中力と発想力を必要とするクリエイターは、どのような住環境を築いているのか。それを探りに、クリエイティブプロデューサーとして活動する後藤あゆみさんのお宅へ。

INFORMATION
後藤 あゆみ(クリエイティブプロデューサー)
後藤 あゆみ(クリエイティブプロデューサー)
ごとう・あゆみ|美術大学を卒業後、IT系のスタートアップに就職。企業の内側から社会をつぶさに見た後に独立し、フリーランスのクリエイティブプロデューサーに。イベントや企業、アーティストのプロデュースやブランディングを手掛ける傍ら、フラワーデザイナーとしても活動する。

選んだのは、閑静な住宅街のコーポラティブハウス。

後藤さんが現在の住まいに引っ越したのは2020年7月。リモートワークや在宅勤務というフレーズが一気に広まり、多くの人が「自宅」という環境を見直し始めた時期だ。とりわけ後藤さんの仕事は、多ジャンルにわたってプロデュースやブランディングを手掛けるクリエイティブプロデューサー。自身の発想を資源とするだけに、仕事に没頭できる環境を整えることは急務。かくして引っ越したのが、閑静な住宅街に佇むコーポラティブハウスだ。

「前の住まいから今の住まいまで、実は徒歩圏内の距離なんです(笑)。前に住んでいたエリアには飲食店が多く賑やかで、自宅で仕事をするには落ち着かなくて。それがちょっと場所を変えただけで、今のエリアはとても静か。仕事に集中できる環境です。同時に決め手になったのが、天井の高さでしたね。デザインに凝ったコーポラティブハウスならではです」

コーポラティブハウスとは入居を希望する複数の世帯が集まり、住まいを思いのままにデザインできる集合住宅。いわば、注文住宅と分譲マンションのいいとこ取り。それゆえにデザイン性が高く、後藤さんの住まいもユニークな造りだ。奥行きある空間に打ちっぱなしの壁と白壁が同居し、天井高は約3m。その天井高を生かしたロフトも備え、ファッション好きにうれしい衣装ラックは3つ。さらには造り付けの広いデスクが仕事を捗らせる。

「ここに住んでいるのは、設計段階から住宅の建設に携わった人ばかり。私のように定期借家契約で住んでいる人は少ないと思います。それだけに、住人の皆さんが顔見知り。私は新参者ですが、SNSを通してお隣さんと出会い、今ではお家にお邪魔したり一緒にランチする仲に。他の住人のお部屋にお邪魔してみると、私の部屋とはちょっと違った内装デザインで。他の部屋はどんな造りなんだろうって、マンションにあるすべてのお宅にお邪魔してみたくなります」

天井の高い空間に、瑞々しい植物の手触りをふんだんに。

「贅沢なくらいの天井高を生かして、とにかく植物のある部屋にしたくて。この巨大なマクラメも、そもそもは植物を飾るためのプラントハンガーです。企画を練るにも企画を形にするにも、私の仕事にはパソコンが不可欠。パソコンが相棒である一方、デジタルは実態を持ちません。長く仕事に集中していると、実態の手触りが恋しくなってしまって」

後藤さんの部屋は瑞々しいグリーンにあふれ、その植物たちがもたらしてくれるのが、デジタルにはない手触り。天井からハンギングされた植物も、鉢植えから幹を伸ばすグリーンも、さらには花器に飾られたドライフラワーまでもが大ぶり。大きめの品種を積極的にセレクトしている理由も、植物が本来的に持つ自然のエネルギーを重視しているから。

「ロフト下に備え付けられたデスクが、私のワーキングスペースです。ちょっと仕事に疲れたら、ダイニングに飾った植物を眺めては息抜きをしています。それに自然物のフォルムやシルエットって、人工物にはあり得ません。植物ならではの美しさは、アイデアの源泉にもなるんです。それだけに部屋に飾る植物を選ぶには、じっくり吟味。場当たり的に選ぶことはほとんどなく、プロの審美眼を借りながらセレクトしています」

植物をセレクトするにあたり、後藤さんが絶大な信頼を寄せているのが、グリーンを主役とした空間デザインを手掛ける『Yard Works』。同時に後藤さん自身も、フラワーデザイナーの顔を持つ。確かなセンスを持って吟味された植物が持つ造形の美しさはもちろん、インテリアとのバランスや花器との相性も、部屋に独特のムードをプラスしている。

「ただ、私の部屋は半地下の構造。日当たりが良くなく、植物を枯らしてしまうこともあって」——。とは言え、枯れてしまうのは生き物だからこそ。のびのびと育つことを願いなら水をやり、枝葉を剪定することもまた、彼女にとってのリフレッシュ行為。そうした癒しの効果も含め、後藤さんは自身にとっての植物を「創作のパートナー」と表現する。

強烈な個性を放ちつつも、部屋に溶け込むアートピース。

植物ともうひとつ、後藤さんの部屋に欠かせないのが、作家性の高い家具や雑貨にアートの数々。そのどれもが強烈な個性を放ち、そもそものデザイン性に優れたコーポラティブハウスの一室によく映える。部屋の中心にレイアウトされた赤いチェアも、まさに巨匠の名品。ジャスパー・モリソンの初期の名作として知られる、シンキングマンズチェアだ。

「でも、巨匠の名品以上に目が向くのが、新進気鋭のアーティストによる作品ですね。例えば、今年の夏に迎えたバランシング・スツールは、すごくサステナブル。作品の制作過程で出る端材を圧縮して作られているんです。こうしたソーシャルグッドな家具や雑貨は、私にとっての刺激。なおかつ、部屋に新鮮な印象をもたらしてくれる気がして」

つまりは植物と同様に、部屋を彩るすべてがインスピレーションの源だ。そして、自身の感性を刺激するアイテムをセレクトするのと同時に、彼女が意識しているのが家具や雑貨の色選び。各々が持つ強烈な個性を重視しつつも、部屋に招き入れるアイテムはテラコッタやグリーン、ウッドのテイストに統一。この統一感がまとまりを生み、さらには瑞々しい植物の色彩ともナチュラルに溶け合う。

「ここに引っ越してから1年半ほど。ようやく納得のいくインテリアが完成しつつあります。前の住まいは、今とはまるで違うインテリア。もっと女子っぽいというか、ラブリーとシャビーを掛け合わせたようなイメージでした。歳を重ねて、センスも変化して、ラブリーな空間が居心地悪くなってしまって。引越しのために所有していた家具の多くを売りに出しましたが、手放せなかったお気に入りは、今もこの部屋で一緒に生活しています」

後藤さんが手放せなかったアイテムの代表格が、今は寝室のベッドカバーとして活躍する植物プリントのカーテン。愛すべきお気に入りを手元に残しつつも、今の気分をインテリアに反映。自らのフィーリングに呼応する部屋だからこそ、家主の心を癒やし、インスピレーションを刺激する。

  • Photo/Takenouchi Hiroyuki
  • Text/Kyoko Oya
LL MAGAZINE