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リビングとベランダを繋ぐ、シームレスな暮らし方。
OUTDOOR 2023.01.31

リビングとベランダを繋ぐ、シームレスな暮らし方。

アートスタジオ「St. Heavogon Studio」を主宰する谷和レオさんの自邸は、幼い頃からアメリカのさまざまなカルチャーに深く影響を受けてきたことから、設計から家具・雑貨のセレクトまで、空間全体を通してアメリカンな匂いが漂う空間に。 リビングとベランダが一体化したような、つい都会にいることを忘れてしまうほどの住宅を通して、屋内外をシームレスに繋ぐ暮らしの魅力に迫る。

INFORMATION
谷和 レオ(セント・ヘヴォゴン・スタジオ主宰)
谷和 レオ(セント・ヘヴォゴン・スタジオ主宰)
たにわ・れお|1973年東京都生まれ。’90年代初頭、現代アーティストの村上隆氏とともにアート活動を共にし、ギャラリーなどを運営。その後アパレルショップ「PIED PIPER」にてファッションデザイナーとして活動し、現在はモダンなステンドグラスなどを製作するアートスタジオ「St.Heavogon Studio」を設立し、東京を拠点に活動中。

屋外と屋内を一体化させたようなアウトドアリビング。

谷和さん一家の団らんの場所であり、もっとも居心地がいいと話すリビングは、ベランダとの隔たりに大きな窓を設け、開放感のある見晴しが魅力。室内にいながら屋外にいるような気分を味わえ、まさにアウトドアリビングと呼ぶに相応しい空間だ。

ベランダには多種多様な観葉植物が配置され、植物園のような緑あふれるスペースを実現。さらに季節を問わずベランダでも寛げるよう焚き火台テーブルとアウトドア用のフォールディングチェアをセットし、BBQや焚き火を楽しめる場として、家族団らんの時間や友人たちを招いた際の寛ぎ空間としても活用しているのだそう。

ベランダ空間に対しても人一倍こだわりを持つ谷和さん。その背景には、谷和さん自身がのめり込んできたアメリカのさまざまなカルチャーへの憧れが反映されている。「音楽やアート、サーフィン、バイクなどの趣味はいずれもアメリカの’90年代のライフスタイルを追い求めていく中で惹かれていった文化であり、僕の現在の全てを体現しているものでもあります。そうした趣向というのが住宅という部分でも反映されていて、ベランダもそのひとつですね」

自宅でも本格的に楽しめる、手作りのプライベートサウナ!

ベランダスペースを語る上で欠かせないのが、DIYで制作したサウナ小屋。サウナストーブはフィンランド製のロウリュ可能な電気式をセレクト。サウナ小屋自体の外壁や内装など、これらすべて谷和さんの手作りというから驚きだ。「最近ハマり始めたサウナですが、せっかく広いベランダもあると思い試しに作ってみたら、意外と本格的なサウナができました」

その外観はまさに北欧的な小屋をイメージしたデザインで、パッチワークのように配されたウッドパネルが温かみのある雰囲気を与えてくれる。また室内から屋外の眺望が望めるよう大きな窓も設置され、景色も楽しめる仕様に。肝心な水風呂スペースは、アメリカで馬用のウォーターボールとして使用されるストックタンクを使用。大人ひとりが十分に入れる大きさで、使い勝手も抜群なのだとか。

ヘリンボーンテイストにデザインされたドアには、谷和さんが手掛けたステンドガラスの装飾が鎮座。ナチュラルなウッドとの相性も抜群で、いいアクセントに。気になる室内を覗くと、腰掛けられるベンチタイプの設計が施され、大人3人が余裕を持って入れる広さを確保。自宅に設けたプライベートサウナとして申し分のないクオリティだ。

海外の住宅を意識した、開放感のあるリビングスペース。

緑を感じつつサウナを満喫できるベランダのみならず、リビングにいながらアウトドアを体験できるのも、この住宅の大きなポイントだ。ベランダとのスペースをシームレスに繋ぐ役割を果たすのが、壁一面を覆う大きな窓。まるで屋外にいるかのような開放感と自然を感じる緑の植物たちを望める眺望は、都会にいることをふと忘れさせてくれる。

そんなリビングのインテリアはリラックスがテーマ。そして大きな窓からは、アウトドアやサウナなどの趣味が詰まったベランダを眺めながら、賑やかに食卓を囲める空間となり、谷和さんにとっても憩いの場だ。そして階段側には対のソファーを設置した空間が広がり、よりリラックス感を味わえるスペースとして、TV鑑賞や束の間の休息に使っている。

3階へ進むと採光が特徴的な寝室スペースが出現。読書や音楽鑑賞など、静かな時間を過ごすのにもぴったりな空間なのだそう。まるでホテルのような雰囲気で、アンティーク調な化粧台や天窓から吊るされた塊根植物がリラックスした気分を格上げしてくれる。

その寝室スペースから出入りのできるベランダスペースにも、床にウッドデッキを敷き詰め、オープンテラスを想定した造りに。こちらもリビング同様に寝室との隔たりを大きな窓で仕切ることによって、シームレスな繋がりを表現。そのおかげで朝の日差しによる気持ちのいい目覚めや起床後の爽快な日光浴など、生活に豊かな彩りを加えてくれている。

あらゆる隔たりをなくした、憧れの快適住宅。

近年、再注目されつつあるアイランドキッチンは、日本の住宅にはなかなか適応しづらい商業サイズで、スタイリッシュなオールステンシルの素材感が見どころ。「キッチンスペースとリビングをオープンに繋げることで、家族との繋がりもより密になってくれます」
さらに背面の大きな木製枠の鏡や手作りの食器棚、ヴィンテージの食洗機など、アメリカの住宅を彷彿とさせる空間は、アメリカンカルチャーに魅了された谷和さんならではのこだわりに溢れている。

アウトドアリビングと開放的な室内を始め、アウトドアを感じられるアイディアや遊び心に溢れるDIYなど、随所に谷和さんらしいエッセンスが加わったアメリカンライクな住宅。そんな憧れの居住空間を手に入れたことで、無意識のうちに生活に対する考え方にも変化が現れているのだそう。
外と内をシームレスに繋ぐことで、遮断されていた隔たりのようなものがなくなった感覚はあるかもしれないですね。都会にいながら自然を感じられたり、室内にいながら屋外の開放感を味わえる。サウナを作ったり、子ども用の遊び場を作ったりと、今まで外の世界に求めていたものが家にいても体験できるというのは、それだけ快適に暮らせているということですよね」

そして谷和さんが話してくれたのは、娘さんの遊び場である箱形の増築スペース。DIYで作り上げたという小屋は、1階と2階のリビングを繋ぐ階段上部にあるデッドスペースを活用した秘密基地のような小屋式の子こども部屋。「娘が小さい頃、秘密基地で遊びたいと言うので、ツリーハウスをイメージしてDIYしました。今も出かけない休みの日はだいたいこの部屋で本を読んだり、お絵描きをしたりして引き篭もっています(笑)」

さらに、谷和さんの職場でもある1階のアトリエスペースも、元々はガレージだった場所をリノベーション。ステンドガラス製作用の作業台を中心に、趣味でもある好きなモノたちに囲まれた、工房兼オフィスとして成立させたレイアウトだ。
こうした自宅にいながら職場も共存した空間や、開放感のある窓によって得られる屋内外をシームレスに行き来できる空間は、谷和さん一家にさまざまな繋がりを与えてくれている。仕事とプライベート、あるいは自然と都会といった、かつては分断を余儀なくされていた隔たりに工夫とアイデアひとつで繋がりを生み出すことで、これまでの暮らし方に新たな自由をもたらしているのだ。

  • Photo/Kiharu Karube
  • Text/Yuho Nomura
LL MAGAZINE