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古民家をDIY。横乗りカルチャーを愛するアーティストの暮らし。
CULTURE 2023.05.05

古民家をDIY。横乗りカルチャーを愛するアーティストの暮らし。

東京都内でありながら、自然豊かな町の古民家にてマイペースな暮らしを楽しむアーティストの難波將汰さん。アトリエ兼自宅であり、オリジナリティにあふれた空間へとDIYされたその家はまさに秘密基地のよう。好きを詰め込んだ家での暮らしや活動について話を聞きに行ってきました。

INFORMATION
難波 將汰(ペイントアーティスト)
難波 將汰(ペイントアーティスト)
なんば・しょうた|1996年生まれ。東京造形大学卒業後、スノーボードの板などさまざまなものにペイントを施すアーティストとして活動。スノーだけでなく、スケートボードやサーフといった横乗りカルチャーからインスピレーションを受け、日々制作に打ち込んでいる。

スケートボードが導いてくれたペイントアーティストの道。

昔から絵が好きだったというより、絵は“描くことで無心になれる精神統一のような行為”だと話す難波さん。「もともと文房具を作るのが夢で、大学はプロダクト科に入りました。でも、プロダクトって基本的にカッコイイを数字で表さなきゃいけなくて、あまり感覚的じゃないので、それが性に合わなくて」

「その人がカッコイイと思ったら、カッコイイで良いじゃんって思っちゃうタイプなんです。絵はそういう感覚に近い。大学の卒業制作は、みんなプロダクトを作るんですけど、僕は既製品に絵を描いて発表したんです。そしたら、先生に評価できないって言われて。そりゃそうですよね(笑)」

そんな彼が既存のプロダクトにペイントをする現在のアーティストとしてのスタイルを形成するに至ったきっかけは、横乗りカルチャーを好きになったからであった。

「雨で滑れない日もスケートボードに触れていたいなと思って、ふと板に絵を描いてみたんです。そしたら、それを見てくれた人が『俺のチャリにも描いてよ』と言ってくれて、それで今の仕事が始まりました」

作品づくりに没頭できる自分だけのアトリエ。

普段の主な制作スペースは、アトリエとして使用している自宅のひと部屋。一番のこだわりは、床に置かれた作業デスク。普段スノーボードの板など大きなプロダクトに絵を描くことが多いため、自ら作ったという。部屋のサイズにピッタリとハマっているのは、DIYならではの仕上がりだ。

他にはDIYで作った棚を取り付けているが、置いてあるものは画材など制作に使う道具ぐらい。まさに作品と向き合うためのシンプルなアトリエになっていた。「気付いたら7時間ぐらい飲まず食わずで描いているみたいなこともあります(笑)」

「この作業台に付いていく絵の具などの汚れも気に入っています。あと、絵を描くときは、広い場所より狭いスペースの方が落ち着くみたいです」
そう難波さんが話すこの部屋は、庭に面した大きな窓から自然光がたくさん差し込み、気持ちのいい空気が流れていた。

限られたスペースを最大限に活かすDIYの魅力。

以前まで寝室として使っていたという部屋は、2段ベットを取り除き、現在は洋服やスノーボードの板を置くための物置きのような部屋として使用。ここもDIYで取り付けた壁に難波さんの好きなものがランダムに並べられ、男心くすぐる空間となっていた。

DIYは、やっぱりその場のサイズに合わせて作りたいものを作れることが魅力。その空間を最大限に活かしたいなら、自分で作った方がいいですね。あとは、賃貸でも壁を立てたらもう勝ち。自由に棚を付けたり、アートを飾ったり何でもできちゃいます(笑)」

難波さんのDIY歴は、幼少時代にまで遡る。「じいちゃんが木工好きで、小学校のときから一緒にいろいろなものを作ったりしていたんです。例えば、遊び道具で弓矢を作ってみたり、スケボーを始めたらオーリーで飛べるようなバーを作ってみたり。そういう小さいことから始まって今に至ります」

よく見ると、Tシャツや小物を収納しているキャビネットは、病院のカルテ入れとして使われていたものであったり、個性的なインテリアが難波さんの作り出した空間に違和感なく同居していることに気付く。

「特定のジャンルに決めないようにしています。こういう家を作りたいというイメージがあると、そういう家になっちゃう。自分のライフスタイルがあるから、ジャンルを決めず好きなものを集めて、それがまとまっていればいい」と家づくりのこだわりを教えてくれた。

横乗りが拡げてくれる友達の輪とクリエイティビティ。

デスクとしての作業スペースは、押し入れをDIYして作られていた。PCで行うデザインの仕事や写真と動画の編集、アパレルのデザイン、はたまた音楽制作まで。多趣味な難波さんらしい様々なクリエーションを行う場所でもある。

「趣味は多くて、やりたいことはなんでもやってみちゃうんです。スノボーのシーズン中に雪山に行けない日が続くとストレスが溜まるので、仕事帰りの電車などで音楽を聴いて、それに合わせてリリックを考えて、ここでレコーディングしたりして発散しています。まだ世に出せるようなもんじゃないですけど、自分が楽しいのでやっています」

難波さんのその飽く無きクリエイティビティは、やはり横乗りカルチャーとそこで出会った仲間たちの影響が大きいようだ。

「元々は小さい頃からスキーをやっていて。スケートボードを始めた年にスノーボードも始めたのですが、そこから横乗りの魅力にどっぷりとハマってしまいました。雪山に行って、どうせなら写真も綺麗なものをと、スマホではなくカメラで撮るようになったら、フォトグラファーとしてイベントに呼ばれるようになって。気付いたらそれが段々と形になっていきました。メインは絵を描くことなので、そっちが疎かにならない程度にですが、今も写真や動画の仕事をしています」

「スケートもスノーも同じ場所で同じ競技をしているというだけで、友達になれるんです。しかも、嫌な仲間意識ではなく、そこにはプロの人もいたりするけど、同じことをして楽しんでいるのだから一緒にやろうよぐらいのラフな感じで。めっちゃピースですよね。それが横乗りの良さかもしれない。だから、辞められないですね」

友達と過ごす秘密基地のような場所。

人が好きな難波さんは、家に友人たちを招くことも多い。自作したウッドデッキのある庭でバーベキューをしたり、部屋でゲームをして遊んでいるのだそう。幼い頃に夢見た“友達との秘密基地”のような居心地の良さがこの家にはある。

そもそも難波さんは何故この場所に住むことを決めたのか。その理由についても聞いてみた。「ここが地元なんですけど、この町がすごく好きだったんです。でも、実家で絵を描いていろいろ汚すと怒られるので(笑)、アトリエが欲しくて。友達を呼んで遊ぶことも好きだったから、どうせならアパートではなく隣人に気を遣ったりする心配のない一軒家がいいと思って探していました」

「家に来た人に家賃を言うとびっくりされますけど、そう見える部屋づくりを頑張りました。築50年なので、窓とかも歪んでいたり。板を貼るにも普通の家だったら計算通りいくことも手こずったり(笑)」

最後に将来のビジョンについて少し聞いてみると、彼らしい答えが返ってきた。「先のことを考えるのは、あまり好きじゃないんです。今を一生懸命生きているのがいいと思ってるから。今やっていることを、ちゃんと続けていければいいな」

雪山やストリートと同じように、家でも本気で遊ぶ。そんな遊び心を忘れない難波さんの人柄が滲み出たいい空間だった。

  • Photo/Takahiro Kikuchi
  • Text/Sota Nagashima
LL MAGAZINE