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サーファーらしい自由な感性が息づく。異国文化を感じる空間。
CULTURE 2023.06.02

サーファーらしい自由な感性が息づく。異国文化を感じる空間。

飲食店やホテルなどの店舗デザインを中心に手掛ける「moR DESIGN」代表の山口大輔さん。夫婦揃ってサーフィンに魅了されたことをきっかけに、6年前に都内から鎌倉へ移住。サーフィンを楽しむために古民家をフルリノベーションしたという自宅は、インテリアデザイナーである夫婦のこだわりが満載。どこか異国情緒も感じられる、憧れのスローライフ。その魅力について伺った。

INFORMATION
山口 大輔さん/昌愛さん(moR DESIGN)
山口 大輔さん/昌愛さん(moR DESIGN)
やまぐち・だいすけ/まさえさん|音楽やアパレル業界での経験を生かし、独学でインテリアデザインを学び、2009年に自身が代表を務めるインテリアデザイン事務所の「moR DESIGN」を設立。店舗デザインを中心にプロダクトデザインなども手掛ける。プライベートでは、サーフィンのほかにゴルフやスキー、釣り、キャンプなど多趣味な一面も。

玄関の土間に並んだ圧巻のサーフボードコレクション。

山口さん宅に入ってすぐ目に入るのが、色柄豊富なサーフボードたち。かつては庭だったという玄関の土間部分は、ボード置き場としてはもちろん、海から上がった際の動線を確保するために建て増しして拡充したスペース。
天井もロングボードの高さに合わせて増築したというこだわりぶり。さらにダイニングやリビングからも眺めることのできるさまざまな柄のロングボードも圧巻のラインアップだ。

「夫婦でメキシコにサーフトリップしたときに出会ったアーティストにオーダーしたものなんです。他と被らない派手な柄が好きな僕にぴったりで、作品としての価値も高いので自宅のインテリアとしても重宝しています」

また土間の奥は、ウォークインタイプのシューズクローゼットとして活用。いたるところにサーフィンやスキー、ゴルフなどの趣味で使用するさまざまなギアが収納されている。
「ここではウェットスーツを干したりもするのですが、鎌倉エリアは都心に比べて湿気も多いので、カビを防ぐために常にエアコンや空気清浄機を稼働しています。愛犬のトイレも設置しているので、なにかと便利なんですよね」

玄関の入り口付近に設置されたワゴン型のラックには、サーフィン用のワックスがきれいに収納されている。そしてサーフボードを収納する一角にはお気に入りのフィンを並べ、さながらサーフショップのようなレイアウトに。

こちらはサーフボード置き場すぐ横のキッチンスペース。趣味のアイテムを眺めながら過ごせる場所でもある。中央のアルミ製ダイニングテーブルは、山口さんが実際にデザインしたプロトタイプなのだそう。
「仕事で家具などのプロダクトを作ることもあり、そのトライアルも兼ねて気分に合わせて模様替えをよくしているんです。このアルミのテーブルはインダストリアルな質感が気に入っています」

サーファーらしい自由な感性から生まれた、オリジナルな家。

俗にいうサーファーズハウスとは趣向の異なる山口さんの自宅は、部屋ごとにテイストが変わり、さまざまな国の文化やデザインが投入された異国感あふれる空気が魅力的。

例えば、リビングスペースにあるスタッズデザインのクラシカルなトランクケース風の棚上には、バリ島で買ったという仏像のアートやスカル、ライオン、スケッグなどさまざまなモチーフのオブジェが飾られる。

「旅先でひと目惚れしたものを無意識に集めていたら、ジャンルレスな置物のコーナーになっていました(笑)。こういった奇抜なデザインのものに惹かれちゃうんですよね」

また日当たりの良いビングの窓際には、インパクトのある柄が印象的なお気に入りのサーフボードや器のデザインがバラバラの多種多様な観葉植物が並ぶ。フィギュアなどの雑貨との馴染み方も自然で、部屋全体に心地の良い安らぎを与えてくれる。

また2階部分への階段の角には、オフトレーニング用のクルーザーデッキも。こちらもやっぱり山口さんらしい柄使いで、特に右側の豹柄はお気に入りなのだとか。

“派手好き”な趣向にぴったりな、空間ごとの壁紙アレンジ。

「家をリノベーションする際に、ジャンルやテイストに縛られたくなくて、サーフィン好きらしく自由なデザインの家を作りたかった」と語る山口さん。

その言葉通り、山口さんの自宅は、リビングルームをはじめワークスペースや寝室、さらにはトイレや階段まで、それぞれ異なるデザインの壁紙を採用し、あえて統一感のない空間を作り上げているのが大きな特徴。1階のリビングでは、トラディショナルなレンガスタイルの壁をセレクトしながらも、窓際の植物や民族柄のラグなどによって、どこかエキゾチックなムードも感じさせる。

そして本物の流木を手すりとして活用した階段スペースには、インパクトのある黄色とトラの総柄デザインの壁紙を壁面ごとに貼付。さらに2階部分にあるトイレ内は、アニマル柄の壁紙が施され、日本にいることを忘れてしまうような空間に演出されている。

かつては古民家であったことから和室をリノベーションしたこちらの部屋は、もともとはサーフボードや釣り竿を収納する物置だったという。それをリモートワークが増えたことを機に、夫婦で並んで仕事ができるよう快適なワークスペースへと改築。趣味と仕事部屋が一体になった、まさにサーファーらしい空間に。
「部屋の壁紙は一見すると奇抜なんですけど、襖や畳など和室の要素は残したこのスペースに合うように、和のテイストに合うデザインを選んでいるんです」

中でも特に目を引いたのが、2階にあるベッドルーム。部屋全体がピンクやブルー、レッドなどカラフルな壁紙に囲まれ、ポップな世界観が広がる。リノベーション前はリビングルームだったこともあり、ドレッサーをおいても広々としたスペースが確保されているのも印象的。

「一般的には白とかシンプルなデザインにすることの多い寝室ですが、海外の住宅にあるようなとにかく派手さを意識したデザインにしたかったんです。もしかしたら家の中で一番気に入っている空間かもしれないですね」

デザインと実用性を両立した、自由な家づくり。

インテリアデザイナーとして商業的なデザインに携わる一方で、自分たちが住む家は好きなものを存分に表現した家にしたかったという。ルールやセオリーを度外視にしたことで、まさにサーファーらしい自由な感性が詰め込まれ、山口さん夫婦らしい空間に仕上がっている。

一見するとデザイン性の高さばかりが目立つが、山口さん宅には住む人ならではの使いやすさも隠されている。

その一例が寝室。ダブルベッドの左側には、甘えん坊な愛犬が一緒に寝られるようにと専用スロープを設置。カラフルなボーダー柄も素敵で、夫婦2人の愛犬への愛情が感じられる。さらに寝室に併設したウォークインクローゼットは、広々とした空間を左右に分けて、夫婦それぞれの膨大な洋服たちを収納。

こうした実用性も意識した空間作りは、ともにインテリアデザイナーである山口さん夫婦ならではの配慮だ。

リノベーションやDIYが一般的になった昨今、住宅のあり方も千差万別。時に洋服のコーディネートを組むような感覚で部屋を模様替えしたり、レイアウトをアレンジしたりするのもインテリアを楽しむ上で大切なこと。山口さんのように何かに縛られることなく、自由な感性で作り上げた家は、きっと心地よく快適に暮らせるはず。

  • Photo/Dai Yamamoto
LL MAGAZINE