ペットも飼い主も生き生きとする、好循環な犬との暮らし。
フレンチブルドッグに特化した日本最大級のWEBメディア「French Bulldog Life」を運営する湯川健太さん、チカさん夫妻。フレブルのことを知り尽くし、愛して止まない2人はどんな生活を送っているのか。その一端を覗きに伺うと、愛犬も飼い主も生き生きと暮らすための秘訣が見えてきた。
- 湯川 チカさん / 健太さん(French Bulldog Life編集長 / 代表)
- ゆかわ・ちか / けんた|「French Bulldog Life」をはじめ、犬種ごとに特化した雑誌やWEBメディアを複数展開。2頭のフレブルと共に鎌倉と嬬恋の二拠点生活を送り、嬬恋の住まいの名前は初代愛犬“ジュブ”の頭文字を取った「J-BASE」。
- http://the-dot.life/
鎌倉への引っ越しも嬬恋の別邸も、すべては愛犬のため。
湯川さん夫妻はフレンチブルドッグに特化したWEBメディア「French Bulldog Life(フレンチブルドッグライフ)」を運営している。無論、夫妻も大のフレブル好き。13歳のエレブくん、6歳のベビブくんと共に暮らし、群馬県の嬬恋にセカンドハウスを設けたのも愛犬のため。
「普段は鎌倉を拠点に生活しています。鎌倉はドッグカフェもドッグランも多く、10年ほど前に東京から鎌倉に引っ越したのも、愛犬を第一に考えてのことです。でも、鎌倉に転居してから迎えたベビブは、ほかのワンちゃんと触れ合うのが苦手。お散歩中も、どこか怖々しているのが見て取れるんです。しかも、ここ数年は酷暑が続いていますよね。フレブルは暑さに弱い犬種のため、夏場は外に連れ出すことも難しくて」
それなら、と湯川さん夫妻は夏でも涼しく、人混みの少ない環境であることを条件に物件をリサーチ。穴場の避暑地として密かに人気の嬬恋にセカンドハウスを購入し、ひと月に1〜2週間ほどをここで過ごしている。
居心地よくアレンジしながらも、家にソファがない理由。
「平成初期に当たるのかな? 別荘ブームのころに建てられた物件のようです。それだけに、内装がちょっと古めかしくて(笑)。レトロな花柄だった壁に白のクロスを張って、キッチンの壁にもタイル風のシートを張っています。備え付けだった暖炉の雰囲気を生かしつつ、自分たち好みにアレンジした感じです」
湯川さん夫妻の“プチDIY”によって生まれ変わった住まいは、ご覧のとおり。ポスターだったり、雑貨だったり、絵本や雑誌だったり、部屋の至るところにフレブルをモチーフとしたアイテムが飾られ、2人のペットに対する愛情がこれでもか、と伝わってくる。
「でも、嬬恋の家とは正反対に、鎌倉の家はめちゃくちゃシンプルなんです。私たちは、夫婦そろって自宅が職場。フレブルのアイテムに囲まれるような、にぎやかなインテリアも捨てがたい一方、ちょっとでも派手にしすぎると、仕事に集中しづらくなってしまうので。このインテリアはセカンドハウスだからこそ、ですね」
とは言いつつも、愛犬への配慮を忘れないのが夫妻らしさ。部屋にソファを置いていないのも、実は愛犬のためだとか。床を覆うような家具を設置しないことで、エレブくんもベビブくんものびのび、室内を自由に駆け回れる。
「自分たちの好みを凝縮したようなインテリアであっても、高い位置に重いモノは絶対に置かない。これも徹底していることです。犬は人間よりも目線が低いため、地震が起きたときはより危険。それに急に家から飛び出して迷子にならないように、玄関にはペット用のゲートを置くようにしています」
飼い主も愛犬も口角が上がる、自然豊かな嬬恋の暮らし。
愛犬のことを第一に、手に入れたセカンドハウス。湯川さん夫妻は「飼い主である私たち自身も、ここでの生活を満喫しています」と話す。人気のWEBメディアを運営する2人だけに、聞けば、常に仕事が中心の生活。それでも愛犬がのびのびと暮らせる嬬恋の環境は、夫妻にとっても心地よく、リフレッシュになるのだそう。
「嬬恋に来ても、結局は仕事をしてしまいます。静かな環境のおかげなのか、派手なインテリアに囲まれていても集中できるんです。それにここは、近くに飲食店がないくらいの田舎。いつもはデリバリーに頼りきりの私たちも、嬬恋では自炊せざるを得なくて。おのずと健康的な生活が送れるので、浄化されるような気分ですね(笑)」
住む土地が変われば、ライフスタイルも変わる。その変化を楽しんでいるのは、もちろん、愛犬たちも一緒。豊かな自然が広がり、人混みの少ない嬬恋では、エレブくんもベビブくんも瞳をキラキラさせるという。
「嬬恋は鎌倉に負けず劣らず、犬に優しい土地。ドッグカフェやドッグランだけでなく、愛犬が一緒に泊まれるペンションも少なくありません。でも、愛犬にとっては、嬬恋の自然こそが天然のドッグラン。キャベツ畑の一角にある遊歩道なんて、最高のお散歩コースです」
さすがは避暑地とあって冬場は特に人が少なく、開放的なのだとか。人気のない遊歩道を駆け回る2頭の表情は、見るからに生き生き。湯川さん夫妻は「瞳から不安の色が消えて、口角がきゅっと上がって、私たちが見たかったのは彼らのこの表情だ、って思えます」と話す。
飼い主によぎる不安を、敏感に読み取ってしまうから。
「ベビブが不安がったり吠えたりしないか、人の多い場所を散歩するときは、飼い主である私たちがドキドキしてしまうんです。でも、犬はすごく敏感な生き物。人間の何百倍も人の表情を読み取る、とも言われていて。それだけに、私たち自身が心配なく散歩をさせられる環境が、愛犬にとってもベスト。嬬恋は、まさにベストな環境です」
言うまでもなく、愛犬との散歩にはリードを用いるのがマナー。豊かな自然が広がる嬬恋でも、それは変わらない。「ただ、ここならロングリードで散歩ができます」と湯川さん夫妻。その開放感が愛犬に生き生きとした表情をもたらし、愛犬の生き生きとした表情が飼い主の喜びになる。そうした好循環が、ここにある。
- Photo/Takahiro Kikuchi
- Text/Kyoko Oya
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