大きな庭は、ローカルの仲間が集うハブ。

ハワイ、オーストラリア、南アフリカ、ブラジル、インドネシア、ヨーロッパ各国……と、サーファーとして世界各国を飛び回ってきた大橋さん。節目に日本へは帰ってきては、茅ヶ崎の実家に2日間だけ滞在し、荷物を詰め替えてすぐ海外へ。そんなサイクルだったという。
そのため、日本における住まいはいわば“荷物置き”程度にしかとらえてなかったものの、日本に拠点を移し、実家で過ごす時間も増えた今、住まいの重要性にはたと気づくことになった。

「この家の造りは、正直言って、あまり快適ではないんです。基本的に1日中海にいるので、家は眠るためだけの場所、と割り切っています」

そのように話しながら、大橋さんは住まいのなかでもとりわけ長い時間を過ごすという広い庭に案内してくれた。

敷地に入ると玄関までの小道があり、その両脇が庭。立派な植栽が生い茂り、そこが住宅地だということを忘れてしまう。ひんやりとした空気も気持ちいい。
小道の右手側の庭にはウッドデッキがあり、上にソファやテーブルも置かれている。愛犬のゴンゾウが、そこを気ままに走り回って、大橋さんの隣にどんと腰を落ち着けた。

「もともと土が剥き出しで、雑草も生え放題でした。でも、何かしらに使えればと、友達にお願いして今の状態にしてもらったんです。日本に一時帰国して荷物の詰め替えをするときには、この広いスペースが便利でした。今も、サーフボードはもちろん、趣味の釣りやゴルフの道具のメンテナンスをしたりしています」

「暖かくなってきたら、毎週のように友達たちが集まって、庭でバーベキューをします。みんな昔からの地元の友達で、おもにサーファー仲間であり、今では一緒に仕事をする仲でもあります」

大橋さんにとって作業場でもあり、リビングでもあるこの庭は、海でも家でもない場所であり、オンとオフが入り混じるのもそれゆえかもしれない。ローカルの仲間が寄りあうハブとして機能していることにも、うなずける。

仕事も遊びも本気なら、規格外の収納スペースが必要。

小道を挟んで向こう側の庭には倉庫があって、そこにはサーフボードをはじめとしたギアがぎっしりと格納されている。「ボードだけでも、50本くらいは入っていると思います」

ほかのボード競技と比べ、サーフボードはボードごとにかなり細かく違いがあり、波のサイズやパワーによって使い分けが必要なのだとか。世界各地で波乗りするならなおのこと、多くの種類を持っておかなければならないようだ。

「倉庫の手前には、現在メインで使うボードや、弟たちのボードが入っています。奥の方に入っているのは、今あまり使わないけれど、思い出深い板など」

この倉庫、以前は半分くらいのサイズだったのを、さきほどのウッドデッキと同じタイミングで友人にお願いして増築してもらったのだとか。
「自分と同じ視点を持つサーファー仲間にお願いした甲斐があって、かなり使いやすいものになりました。ただ、ボードの数もどんどん増えて、最近はまた手狭になっています…（笑）」

サーフィンが暮らしの中心にある大橋さんだが、波がなければ何もしないわけではない。スケートボード、釣り、ゴルフ…とつねにさまざまなアクティビティを楽しんでいるという。

「最近はとくにゴルフにハマっていて、朝一番にゴルフをして、その足で海に行って波乗りをすることも多いんですよ」
そうした趣味に使うウェアやギアが、家の中にもどっさりと収納されているというわけだ。スポーツやアウトドアを貪欲に楽しむパワフルな大橋さんだけに、収納も、規格外のものがしかるべく必要になってくる。

Sunny Track Houseは、昔住んでいた実家にそっくり⁉︎

実は、マイホームを持つことを計画中だという大橋さん。これまで世界を転々としながら、友人・知人のさまざまな住まいを見てきただけに、理想のロケーションや住まいのかたちは明確にあるという。
「海も山も近くにある環境が理想。まわりをあまり気にしなくていい、静かな場所がいいですね。あと、住居自体を大きくつくるより、とにかく庭を広くしたいと思っています。じつは、ここに住む前に暮らしていた以前の実家が、かなり理想に近いんですが…」

それは、大橋さんの両親が、サーファー目線で造った家だった。車8台が停められるくらいの駐車場が家の前にあり、それをスケートパークのようにして、波のない日にサーフィンの練習をしていたという。2階にリビングがあり、タイル張りの広いテラスが付いていた。…と聞いていると、まさにSunny Track Houseと似たような構造だったようだ。

「外階段を使って2階へ直接アクセスできるのも同じでした。海から帰って、そのまま風呂に入ることができる設計だったのが便利でしたね。Sunny Track Houseもサーファー向きだと思いますよ。ウェットスーツのまま帰ってきてもいいだろうし、アウトサイドリビングでギアの汚れを落としたり、軽くケアをしたりしてから室内に入れますよね」

また、友人たちと集まってのバーベキューも、Sunny Track Houseならさらに快適になり、楽しめることの幅もぐんと広がりそうだと話す。

「室内にいてもアウトサイドリビングにいても、みんながどこにいても同じ空気を共有できそうな気がします。奥さんの家族は音楽好きなので、ドラムやベースを持ち寄って、ミニ音楽フェスを開くのも最高ですね！　今でも、大勢で集まってバーベキューをしていると、みんな自然に歌いはじめたりするんですよ（笑）。そういう楽しみ方も、プライベートな空間なら気兼ねなくできそう。夜は映画や、みんなで作っている映像作品なんかをスクリーンで上映するのもいいかも」

いわば、“空に近い”キャンバス。インスピレーションを誘う。

「大きな窓を開け放てば中と外が段差なく繋がるから、友達が集まるとサッカーとか始まっちゃいそうですね（笑）。パターゴルフをやるのもいいかも」

楽しい想像がどんどん膨らむ一方、仕事もともにする友人たちとのオフの時間は、そのままオンの時間にも、ゆるやかに繋がっていく。

「みんなでわいわい食事しながら話していると、ふとなにかを思いつくことがあるんです。そういうときは、その場でアイデアを試してみたい。ボードを何枚も広げて話をしたり、ボードを作ってみたり。室内で食事していても、アウトサイドリビングに出れば、すぐにそうした作業に取りかかれますよね」

仕事においては、自分たちがやりたいことを常にできる空間づくりが何より大切。日本に拠点を移してから、はたとそう思い至ったのだといいます。

「というのも、海外にいるときは、イメージやアイデアがどんどん湧き出ていました。それを元にモノづくりをすると、反響も大きいんですよね。でも、日本に帰ってからはそうしたイメージやアイデアが如実に減ってきていて、焦っていました」

モノづくりの始まりは、まずインスピレーションの湧く空間を調えるところにある。そのことを肌身でひしひしと感じている大橋さんにとって、Sunny Track Houseの2階は絶好のワークキャンバスになるようだ。さらに、「空に近い場所で考えることも重要で」と続ける。

「以前暮らしていた実家でも、たまに屋根に登ってボーッと考えごとをしていました。イメージやアイデアが浮かびやすいんです。目に入るものがいろいろあると、気を取られちゃう。『あそこ、錆びてるな』とか『庭が散らかってるな』とか。空以外に見えるものがなければ、自然と、感じられることも自分の中から出てくることも多くなる。だから、これだけの作業空間が空に近い2階にあるのは、かなり理想的ですよ」

“中に入り切らない”くらいが、快適な生活バランス。

住まいにおける外環境をもっとも重視するのは、きっと、外で過ごす時間が暮らしのほとんどを占めるから。大橋さんにとって、“中に入り切らない”くらいのバランスが、暮らしに快適さをもたらすのだろう。家族や友人と過ごす時間においても、オンの時間もオフの時間も、総じて。

世界中をめぐりながら借り暮らししてきた住まいで、さまざまなインスピレーションを得てきた大橋さんも、「Sunny Track Houseみたいな家を建てられたら、わざわざ海外へ行く必要もなくなるかも（笑）」と、思わず漏らした。