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ウッドと原色の、絶妙なアンバランス。仕事と私生活をいっしょくたにした循環する住まい。
FASHION 2023.12.18

ウッドと原色の、絶妙なアンバランス。仕事と私生活をいっしょくたにした循環する住まい。

共通するのは、どの品にも、いわば酒井さんの"いいね"が押してあること。もちろん気に入って買っているのだから当然だが、"いいいいいいいいいねっ"が押してあると言い直せば、いくらか正確な表現だろうか。

INFORMATION
酒井 萌野さん(FREAK’S STORE DX本部 ECSM部)
酒井 萌野さん(FREAK’S STORE DX本部 ECSM部)
さかい・もえの|長野県出身。2015年に株式会社デイトナ・インターナショナルに入社し、FREAK’S STOREの店舗で3年半勤務したあと、本部配属に。ECまわりの撮影やスタイリングなどの制作に携わりながら、趣味が高じて、ライフスタイル商品の企画などもおこなう。

物件は割り切って、インテリアでポテンシャルを底上げ。

「生活や家計のことを考えて、ある程度割り切ろうと思って」

酒井さんが、手頃に借りられるマンションへ引っ越したのは、結婚してほどなくの3年弱前。それまではフルリノベーションされたばかりの中古マンションの一室を借りてふたり暮らししていたが、「ほとんど私の我を通したかたち」だったため、家賃は予算をちょっぴりオーバー。それを結婚を機に見直し、少し現実的になることを選んだ。

当時借りていた部屋には、ひとめ惚れしたという。とりわけ気に入っていたのはインダストリアルテイストのキッチンで、大ぶりのタイルが張られ、コンロは使いやすい4口だった。また、床には珍しい竹材が使われていた。

一転して、現在の住まいはというと、いわゆる日本でよく見られる一般的な内装デザイン。床はフローリングで、壁紙はあたりさわりのないナチュラルなクロス張り。

そうは言っても、見るかぎり、部屋は趣味のいいインテリアや雑貨で彩られている。花瓶、オブジェ、イラスト、キャンドル、モビール、照明、器、ぬいぐるみ、ブランケットなど、酒井さんのお墨付きの品々が、そこかしこに。

「前の家で使っていたお気に入りの家具を、まるごと持ってきただけなんです」とこともなげに言うが、彼女の部屋づくりのセンスのよさが、はっきり窺える。

働きながら、暮らしのことをしょっちゅう考えている。

ウッディな素材と、パキッとした色。その少しアンバランスな組み合わせ。

好きなテイストについて、よどみない酒井さん。木工芸が盛んな長野県に生まれ、幼い頃から自然がごく身近だったことも、影響しているのだろうか。FREAK’S STOREの世界観にもそこはかとなく通じる気がすると伝えると、「自分ではわからないものですね(笑)」と心外そうに照れ笑いしながらも、「でも、好きなことを仕事にしたのは、たしかです」と、思い当たる節もある様子。

好きを仕事に。それは彼女にとって難しいことでもなんでもなく、ごく自然なこと。なにせ、暮らしながら仕事のことを、働きながら暮らしのことを、しょっちゅう考えているというのだから。インテリア選びの作法も、それを裏付けるひとつだ。たとえば彼女の部屋にあるのは、アートともインテリアともつかない品々。

「基本的に、つくり手の顔が見える物が好きなんです。なるべく本人に会って、お話を聞いて、直接買いたい。そうすると、愛着も100湧くので」

好きな作家やアーティストの個展やポップアップなどがあると、かならず在廊日に足を運ぶようにしているという。また、足繁く通うショップでは、店主との会話をこそ楽しみ、“そのひとから買う”ことをなにより重んじる。

その心は?と訊いてみると、「応援したいんです」とさらり。

そして見せてくれたのは、彼女の企画立案によってFREAK’S STOREで制作されたという、波佐見焼の湯呑み。イラストレーター・norahiと、長崎県の陶磁器ブランド・マルヒロとのトリプルコラボで、酒井さんは両つくり手の大ファンだった。

続けて見せてくれたのは、スケボーを抱えたぬいぐるみ。ぬいぐるみアーティスト・SIOの人気シリーズ・The TOMODACHI!だが、これも彼女の企画した商品。「夏のおでかけ」をテーマに、70体のぬいぐるみをつくってもらったのだとか。

ブランドECの制作まわりが担当の酒井さんにとって、そうした商品企画の仕事は管轄外にもかかわらず、個人の「やりたい」を尊重し、チャレンジさせてくれるのがFREAK’S STOREの社風なのらしい。学生時代、「アパレル、インテリア、デザイン、どの分野に進むか迷っていた」という酒井さんが、「その全部ができそう!」と就職を決めたのも、まさにそのため。

「私生活と仕事、わけへだてないのが気持ちいい」ときっぱり言ってのけるのが清々しい。

子どもの頃、趣味は模様替えだった。

そんな彼女に、インテリアや部屋づくりへの興味の発端をたどってもらうと、「小学生の頃の、雨の日」と、古い記憶を掬い上げてくれた。

「天気が悪くて外に遊びに行けないような日。決まって、部屋の模様替えをしていました。ヘンな子どもですよね(笑)その頃はまだ自分の部屋があったわけじゃないので、あくまでリビングの一角を、自分の好きな感じに、居心地よくアレンジしていたんです」

たとえばテーブルの上にある雑貨やぬいぐるみの配置を替えてみたり、壁にポスターを貼ってみたり。

彼女の部屋づくりへの情熱の根っこにはそうした原体験があって、だから彼女は物件のポテンシャルに左右されず、いまも部屋のあちらこちらの一角を折に触れてアレンジしているのだろう。

そんな風に腹落ちしたところ、彼女はふと我に返ったように、「やってること、いまと変わらないですね」と自らに鋭いツッコミを入れた。

いいものを伝え広め、モノづくりの循環の一助に。

学生時代は美術をまなび、その道を志していた時期もあるのだという。

結果として選んだのは別の道だったが、それでも、だからこそ、作家やアーティストへの共感やリスペクトは人一倍。そして彼女にしかできないことをするために、職権をフルに濫用している。

「いいものを世に広めれば、もっといいものをつくっていただける。そうした循環をつくりたいんです」

好きなことも、私生活も、仕事といっしょくた。それが彼女にとってなにより心地よい暮らし方であり、部屋づくりのティップス。「そうして好きな物に囲まれて暮らすことで、仕事のアイデアが生まれたりするんです」

「FREAK’S HOUSE」がもたらす、さらなる刺激と出会い。

最後に、もしまた引っ越すとしたら?と訊くと、「やっぱり、内装にこだわった物件がいいですね(笑)」と正直に答えてくれた酒井さん。なら、LIFE LABELが手掛ける「FREAK’S HOUSE」がおあつらえ。

なにせ内装の至るところに大胆にウッドがあしらわれ、パキッとしたカラーリングのインテリアや雑貨との相性は言わずもがな。彼女の物欲をさらに刺激し、たくさんのつくり手との出会いをもたらしてくれそうな気がする。

  • Photo/Sana Kondo
  • Text/Masahiro Kosaka(CORNELL)
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