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ニッポンをいただきます
FOOD & HEALTH 2018.12.18

ニッポンをいただきます

#004 とりめし

毎日の生活に欠かせない食事。だからこそ食材にこだわり、おいしくて体にもうれしい料理を食べたいですよね。そんな想いから始まった"ニッポンをいただきます"。今回は、ベツダイ本社がある大分県を舞台に、別府市にお住まいの料理研究家・宮川園さんに「とりめし」づくりを教わります。

INFORMATION
宮川 園 - SONO MIYAKAWA
宮川 園 - SONO MIYAKAWA
1987年、熊本県天草生まれ。東京造形大学にて建築を学ぶ。学生時代にまちづくりプロジェクトで別府と東京を行き来するうちに別府の魅力にはまり、卒業後、NPO法人『BEPPU PUROJECT』に入社し別府へ移住。“食も建築”との想いから、フードアーキテクト(たべもの建築家)として活動し、食を通したコミュニティづくりを行う。 2018年6月末、別府にカフェ『Basara House BEPPU』をオープン。

移住先で出会った「とりめし」の味

今回、撮影の舞台となった「Basara House BEPPU」

別府在住の料理研究家として活躍する、宮川園さん

熊本県天草市に生まれ、東京で育ったという宮川さん。大学生のときに別府のまちづくりプロジェクトに参加して「実際に住んでみないとわからない」と思い、移住することを決めたといいます。

別府に来て最初に住んだ地域は、下町の情緒が色濃く残る土地柄で、都会育ちの宮川さんが戸惑うほどに、人とのつながりが強かったのだそう。

Basara Houseでは、営業日や時間によって複数のお店を切り盛りしている

実は東京育ちの宮川さん。移住したての頃は、初めての経験に戸惑うこともあったという

「今から4年ぐらい前になりますが、地元の長老的存在である市議会議員の選挙活動に駆り出されることになり、日の丸のハチマキを締めて、選挙カーに乗って大分各地をまわることになったんです。最初は嫌々だったんですけど、いろんなエリアを選挙カーから見ることができて、今となってはいい経験だったと思います」

棚田を見ながら食べた「甘くない」とりめしに衝撃を受けた

宮川さんがとりめしに出会った、内成の棚田

そんな時、棚田で有名な内成という内陸の農村を訪れた際、支援者の家で振る舞われたとりめしを食べて、宮川さんは衝撃を受けたのだそう。

「とりめしというのは大分の郷土料理で、醤油や砂糖で甘辛く炊いた鶏肉やゴボウをご飯と混ぜ合わせてつくる混ぜご飯です。私も好きでそれ以前からよく食べていたんですが、大分の人ってすごく甘口で、地元の醤油もみんな甘い。だからとりめしも、甘い味なのが普通だと思っていたのです。

でも、内成のとりめしは全く甘くない。そのかわり、米の甘さやゴボウの風味、鶏肉のうまみがしっかりと感じられて、シンプルなおいしさに感動しました」

宮川さんにならって、LIFE LABELスタッフもとりめしづくりに挑戦!

料理中も大活躍した「キッコーマン」の醤油

つくってくださったお母さんに作り方を聞いてみると、酒や砂糖は一切使わず、醤油だけで味付けするとのこと。しかも使っている醤油の銘柄は、なんと「キッコーマン」。

「大分にキッコーマンを使った郷土料理があることにも驚きましたが、東京から来た私には、関東の調味料が使われていることだけでなんだかうれしくて」

この時一緒に出されたとり汁には細かくカットしたガラが入っていて、とりめしを含めて鶏一羽全部を使った献立。食材を余すことなく使い切る田舎料理から、大きなヒントを貰ったように感じたそうです。

以前から旅先で気に入った料理を頭で覚え、自宅で再現するのが習慣だった宮川さん。内成のとりめしの味もコメカミに記憶し、キッコーマン醤油・鶏肉・ゴボウ・にんじん・干し椎茸を使って再現してみたといいます。 

「とりめしに使う鶏肉は、固い肉質の親鶏です。出汁が出るのと歯ごたえがアクセントになるので、とりめしには若鶏よりも親鶏が好んで使われますね。

それと、干し椎茸からもいい出汁が出ます。東京で出汁というと鰹だしや昆布だしですが、大分では椎茸出汁が主流です。時間をかけて戻した干し椎茸はアワビのような食感で、他の産地のものとはおいしさが全然違いますよ」

お花見、お祭り……大勢で集まるときは「とりめし」が欠かせない

宮川さんのつくるとりめしは、近所の子供たちにも大人気。

「うちのとりめしの味の決め手は、ごま油です。甘みの少ない醤油味にごま油の風味が加わることで、家庭料理からちょっとジャンクフードのような味わいになります。とりめしをつくるのは、主に花見やお祭りなどみんなが集まる時が多いですね。『園ちゃんのとりめしが食べたい』って子供たちからリクエストされることもあるんですよ」

別府の町全体が「家」みたいな存在

古い建物をリノベーションした店内

2階のシェアハウスに住む仲間と、ワイワイすることも

お店の内装も、ご近所さんの力を借りてつくり上げたという

東京から移住して約10年、別府の暮らしを満喫している宮川さん。

「私にとって別府って、町全体が家みたいな存在なんです。道路が大きな廊下で、温泉がお風呂。町の人は同じ家に住む家族です。一人でさみしいって感じはしません。もしさみしくなったら、近所の家やお店に行けばいいし。『ただいま』と言える場所が、いろんなところにある感じですよね」

原風景がよみがえる、別府の美しい山並みが好き

宮川さんに、別府の町の一番の魅力は?とたずねると「山!」と即答。

「初めて別府に来た時、私が生まれた天草の風景に似ているな、と思いました。海と山が近いというか。自分にとっての原風景ですね。特に山並みが個性豊かで、おとぎ話に出てきそうだと思いました。

それに別府の温泉って、山に染みた雨水が300年かけてマグマに温められて今湧いて出ているんですよ。山があるからこそ、別府に温泉がある。そんな化石のようなお湯に毎日入ることができるのも、別府のすごいところだと思います」

誰かと一緒に「食べる」ことで、経験を共有していきたい

「私にとって食べることは、コミュニケーションや表現の手段のひとつ。子供の頃から『この味何?』『この味好き?』といった風に、食べ物を介して、まわりの人とコミュニケーションをとっています。食べるって自分の体をつくることでもあるし、どこに住んでいてもどんな人でも、一番みんなにとって普遍的な行為だと思うんです」

「何を食べるかも大事ですけど、誰とどうやって食べたかも重要。同じ食卓を囲む人たちが作り上げる空間も、食材の一部だと思っています。

何てことはないメニューでも『あの時のご飯おいしかったな』ってなること、あるじゃないですか。今回つくったとりめしも、ふと思い出して、みんなで集まるきっかけになってくれたら嬉しいですね」

さあ、いただきます!

とりめし

材料(約5人分)

  • 鶏肉(親鶏) … 300g
  • ごぼう … 2本
  • にんじん … 1本
  • 干し椎茸  … 3個 (戻し水200ml程度)
  • キッコーマン醤油 … 100ml
  • 薄口醤油 … 50ml
  • ごま油 … 大さじ2
  • 米 … 5合

作り方

1. まず初めに、お米をとぎます。1時間ほど水に浸し、鍋または炊飯器に移してご飯を炊きます。鍋で炊く場合、水は小指の第一関節くらいが適量。

2. 鶏肉は細切れ、ごぼうはささがきにして水に晒し、30分程度おきます。にんじんはイチョウ切り、干し椎茸は水で戻して細切りにします。

3. ごま油を鍋底いっぱいにひき、ごぼう、鳥の順に炒めます。

4. 鳥が白っぽくなりだしたら、干し椎茸と戻し汁、醤油、薄口醤油を入れます。

5. 沸騰したらにんじんを入れ、10分中火で蓋をして炊きます。 具材がヒタヒタにつかるくらいの水気でOK!

6. 炊きあがったお米に5.を混ぜて完成です。

宮川さん特製、“甘くない”とりめしの完成!

とりめしは「親鳥」と「ごま油」を使うのがポイント。親鳥の歯ごたえとコクが感じられます。ごま油でごぼうを炒めると、香りが立って病みつきになる美味しさに。

とりめしを作りながら、その他のメニューも手際よく作り上げてくれた宮川さん。別府の暮らしについてお話を聞きながら食卓を囲んでいると、近所に住むお子さんが遊びにきたり、カフェのお客さんが訪れたりと、普段から“ふらりと立ち寄れる場所”として愛されていることが伝わってきました。

ゲストの暮らしにまつわるエピソードと共に、心と体にうれしいレシピをご紹介する『ニッポンをいただきます』。次回もお楽しみに!