不要なアイテムを再活用したテーブルコーディネート術
#011 料理家/寺井幸也さん
ちょっとした“ひと手間”で暮らしを彩ることができたら、きっと毎日が楽しくなるはず。そんな思いから生まれた「暮らしのひと手間」。今回も引き続き、旬の素材を使った彩り豊かな料理やデリ&ケータリングがSNSなどでも話題の料理家・寺井幸也さんが登場。「人や物とのつながりを大切にしたい」という幸也さんから、持続可能なサスティナブルも意識した、ゲストとのひとときを心地よく演出するテーブルコーディネート術を教えてもらいました。
家族や友人とか囲む食卓。お料理以外にも、食卓を演出するアイテムがあるとさらに楽しい時間になりますよね。欠けてしまったお皿や飲み終わった空ボトルなど、一見不要なものもアイデア次第で立派なインテリアアイテムになるんです。ダイニングをさらに居心地良い空間へと演出する、幸也さん流のゲストへのおもてなしアイデアとは?
- 寺井幸也さん
- 常識にとらわれない発想で、毎日食べても飽きない、心も身体も喜ぶ、華やかな家庭料理を提案。ヘルシーで彩り豊かなケータリングやお弁当「幸也飯」がInstagramで注目を集め、現在のフォロワーは約6万人。メディアでのフードスタイリングやレシピ提供をはじめ、飲食店プロデュースや企業との商品開発など、活動の幅を広げている。
- @yukiya.terai
【アイデア01.】 欠けた食器や使わなくなったお皿を鉢皿に活用
幸也さんにとって、食事を楽しむためのダイニングテーブルを彩る盛り上げ役として欠かせないのが、季節の花によるフラワーアレンジです。色彩豊かなお料理に負けないくらいの鮮やかさとにぎわいが、まるで訪れるゲストを歓迎してくれているかのよう。ここには、食器を植木鉢や鉢皿としてリメイクしたミニ観葉植物もいっしょに並べます。
「せっかく縁あって僕の元に来てくれた食器なので、棚に閉まっておいたままにしたり、捨ててしまったりするのでなく、新しい息を吹き込むというか……。積極的に再活用してあげたいですよね。欠けてしまった食器をお料理に使うわけにもいかないので、植木鉢や鉢皿として生まれ変わらせています。」
メリハリのあるテーブル周りの演出は、さすがの一言!ゲストの目を楽しませてくれるだけでなく、食事中の会話にも花が咲きそうです。
「食卓に鉢植えがあることを気にする方もいるかも」との配慮から、植物の根本には木材を砕いたウッドチップや樹皮を砕いたバークチップ、クルミの殻、珊瑚といったナチュラルな素材を活用してマルチング(土を隠すこと)を。幸也さんのゲストへの細やかな気配りがここにも感じられます。
幸也さんが料理の盛り付けなどに愛用していたというスクエア型の大皿。ひび割れが入ってしまったものは、ミニ観葉植物をまとめて置くためのプレートに。サイドテーブルなどにワインや飲み物、キャンドルといっしょにセットし、おもてなしの演出の一つとして活用してもステキです!
【アイデア02.】 空きボトルはトッピングや調味料入れに
気に入ったデザインのボトルはもったいなくてつい取って置いてしまう...。そんな時、幸也さんはクラフトビールやソーダなどのミニボトルの空き瓶を食卓で再活用。お料理にアクセントを添えてくれるバルサミコ酢やオリーブオイル、サラダに欠かせないという砕いたナッツ類を詰め替えて、ダイニングテーブルにセットしています。
「サイズは少し大きいですが、ワインボトルもおすすめです。製造まで手間暇かけて造られる日本のヴァン・ナチュール(自然派ワイン)のエチケット(ラベル)がかわいいので、最近とてもお気に入りなんです。」
透明のボトルには、ナッツ類をイン。ひと目で何が入っているのかわかるだけでなく、残量もチェックしやすいというメリットも。空きボトルに入っていれば、ナッツを料理にかけるときも手を汚さずに済むので、スマートに使いこなせます。
エチケットの気に入った瓶は、使わないときはキッチン周りなどに並べてディスプレイしておくだけでも絵になるもの。バルサミコ酢は、グリーンのボトルに入れることで、色のコントラストを楽しんだり、瓶に描かれているイラストを際出せたりする効果も。
【アイデア03.】 ワインコルクを箸置きにリメイク
ワインやシャンパンなど思い出の日に空けた1本や、ワイナリーの刻印がおしゃれだったりするコルクは、なかなか捨てられないという人もいるのではないでしょうか。
幸也さんは、そんなコルクを再利用。真ん中から半分にカットし、平らな部分を作ってお手軽な箸置きに変身!
「デザイン性があるものや、カラフルな箸置きも魅力はあると思いますが、樹皮が素材のコルクは、ウッディなテーブルや箸にしっくりマッチしますよね。食卓周りが華やかなので、メリハリがついて逆に素材の持つ良さやナチュラルな風合いが引き立つような気がします。」
主役のお料理の邪魔をすることなく、自然とダイニングの風景に溶け込んでいるのがわかります。
くびれのあるフォークやスプーンといったカトラリーは、スパークリングワインのコルクが安定するのでおすすめ。ほかにも、コルクを横にして下部を平らにカットし、上部に切り込みを入れれば、カードスタンドにアレンジすることもできます。その日のワインのエチケットを台紙に貼って置いてみたり、ゲストとの写真を飾ってみたり、楽しみ方は自由自在。
幸也さんが考える「物を使い続けることの大切さ」
「使わない物=捨てる」ではなく、別の使い道を考え、新しい息吹をもたらし再活用するのが幸也さん流。環境への配慮や、持続可能なサスティナブルを意識した取り組みが増えている昨今の風潮にも、幸也さんのマインドはしっかり寄り添っています。
「僕はよく、料理後に出るゴミが本当に少ないと言われます。料理家として、素材などを選ぶときの基準というのはすごく大事で、生産者の方に直接話を聞いたりして、その物が作られた背景や、作り手の思いとかまで深く意識しています。そうして自分が納得した物を集めて使わせていただいているので、何一つ無駄にはできないんですよね。」
料理はもちろん、洋服1枚とってもその考えは同じ。最近は、サスティナブルな素材を使用したアイテムたちがワードローブの中心になっているのだそうです。
人や物を大事にすることは、環境にも配慮することにつながるのかもしれません。見方を少し変え、捨てるはずの物でも少しの工夫で、オリジナリティあふれるアイテムに生まれ変わることを教えてくれた幸也さんのテクニックに、今回も脱帽です!
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