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模範的、無駄遣い。-アウトドア編②-
OUTDOOR 2022.05.09

模範的、無駄遣い。-アウトドア編②-

市ノ瀬 亮・黃 馨範・岩上 哲平

どうしてもネガティブに捉えられがちな“無駄遣い”という言葉。しかし、生活拠点や趣味嗜好、ライフスタイルが異なれば、当然身の周りに置く心地のよいものも十人十色。「どうして、そんなの買ったの?」と傍からみれば無駄に感じるものにも、その人なりの買った理由がちゃんとある。そこで今回は、アウトドア好きが買った“愛すべき無駄なもの”をご紹介。自分だけにしかわからないモノの価値を聞いてみた。

フェス好きクリエイター、市ノ瀬 亮の無駄遣い。

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市ノ瀬 亮(Festival Life ディレクター)
市ノ瀬 亮(Festival Life ディレクター)
いちのせ・りょう|某アウトドアブランドの広報宣伝部に約12年間在籍したのち、現在は日本最大級の音楽フェス情報サイト「Festival Life」のディレクターとして活躍中。趣味は観葉植物とフェス巡り、キャンプ。

家の台所に立つことは、ほぼ皆無なんですが……。

キャンプでの楽しみでよく挙げられるのが、キャンプ飯。非日常的な空間で摂る食事はいつも以上に美味しく感じられ、さらに掘っていけば、キャンプ場までの道中で「今日、何食う?」なんてやりとりも結構盛り上がったりするものだ。そのため、途中で立ち寄ったスーパーでの買い出しは、その高揚からなのか、多少タカが外れがちでもある。市ノ瀬さんもまた、キャンプ飯のために思うがまま“とある買い物”を楽しむ。

「キャンプに行くとき、スーパーで見つけたら何も考えずにレジへ持って行っちゃうんですよ。自宅ではまったくと言っていいほど料理をしないんですけど、キャンプで使いたいがために……。そうして増えていった調味料たち。ちなみにコレ、ごく一部です。変わった調味料を見つけるとついテンションが高くなり、じつはプライベートで買い物するときも変わった調味料を見つけると購入する節がありまして(笑)」

「ここ最近の個人的ヒットは、この九州醤油ですかね。鹿児島出身の親友から勧められた横山醸造の『母ゆずり』で、味わい深く、濃厚でコクもあって。どんな料理とも相性がよいので、コレに出会ってからずっとリピートしてます。甘口が好みの方はもちろん、関東のお醤油しか使ったことない方にもぜひ試してみて欲しいです」

僕にはもったいないほどのオーバースペックな一足。

次に見せてくれたのは、KEENの「カンザスシティ ミッド」。当ブランドといえば、「ユニーク」をはじめとしたカジュアルなモデルが非常に人気だが、市ノ瀬さんがチョイスしたのはヘビーデューティーな一足だ。

「つま先に保護プレートが入っているので、岩に足先をぶつけてもノーダメージ。その割にめちゃめちゃ軽く、長時間履いても疲れません。ほかにも、万が一電線を踏んでも補助的なガードをしてくれる電気抵抗システムが備わっていたり、金属探知されないよう100%非金属の構造にもなっていたりと、機能満載なんですけど、ガーデニングとキャンプでしか使わない自分にとって正直オーバースペックで(笑)」

「つま先にカーボンプレートが入っている分、少し足が大きく見えるんですけど、それはそれでシルエットが男らしく見えて、履いていて素敵だなって思うんですよ。一見、ワークブーツっぽくないアウトドアなテイストもお気に入りの理由です。フェスや街でも、ガシガシ履いていこうと思います」

台湾からアウトドアの魅力を発信する、黃 馨範の無駄遣い

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黃 馨範(saibabaethnique オーナー)
黃 馨範(saibabaethnique オーナー)
ホワン・シンファン|台湾にてアウトドア&エスニックの衣料雑貨屋「saibabaethnique(サイババ エスニーク)」を経営。その傍ら、「CAMP de AMIGO」という日台交流FESを主催し、その他にもグルキャンやイベントデコ、アウトドアウエディングなど、マルチに活躍する。

私、コップフェチなんです。

アースカラーをベースにしながらも、異国情緒あふれる民族模様を巧みに織り交ぜることでキャンプサイトをエスニックな雰囲気に落とし込んでいくホワンさん。そのセンスは一朝一夕で磨かれるものではなく、ショップオーナーとして、スタイリングのプロとして、これまで数多くのモノを見てきたからこそ身についたわけだが、そんな彼女のもやはり、自身の心を満たすための“無駄遣い”がある。

「私、好きなデザインが入っているとついつい購入してしまうほどの、コップフェチなんです! 写真には写っていませんが、このほかにもホーローやステンレス製のコップもたくさん所有しています」

ポップなカラーリングとイラストが可愛らしい、アウトドア用のコップたち。種類も豊富で、各企業やクリエイターとのコラボレーションも注目を浴びる。

「なかでもお気に入りなのはこの2つ。私の好きなデザイナーさんのイラストがプリントされたDINEXのコップです。ちなみに、左のコップはまったく同じものをもう1つ持っていて……。知らないうちにダブってたみたいです(笑)」

軽量かつタフな仕様で支持される、DINEXのコップ。プラスチック製ながらも、二重構造により保冷・保温性に優れ、オールシーズンで活躍する。写真左は「山と食欲と私」を代表作に持つ漫画家、信濃川日出雄氏が描き下ろしたもの。右は、サーフカルチャーをバックボーンに持つ世界的アーティスト、Yusuke Hanai氏とのコラボだ。

キャンプにも持っていく、かわいいフェルトのインテリア雑貨。

こちらは、彼女がのんびりと寛ぐリビングの一角。招き猫にだるまなど、和テイストな置物も気になるが、なかでも目を惹くのがハンティングトロフィーのようなインテリア雑貨。

「作家の花村一晃さんが一つひとつハンドメイドしているHande und Stitchの『アニマルトロフィー』です。好きすぎるあまり、リビングにたくさん飾っています。キャンプに行くときやデコの仕事があるときは、この中からいくつかアニマルトロフィーをピックし、キャンプサイトにも飾ることも」

狩りで仕留めた獲物を戦利品として飾る、ハンティングトロフィーから着想を得た花村氏の作品。造形による毛並みや質感、シワなど、ディテールにリアルさを追求しながらも配色や表情に遊びを加えることで、ぬいぐるみとしての優しさ、温もりを両立させる。

「このヒョウやトラのアニマルトロフィーは元々なかったのですが、花村さんにお願いし、一年越しで作ってもらいました。とても貴重な一品です!」

旅好き、岩上 哲平の無駄遣い。

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岩上哲平(Purveyors ストアマネージャー)
岩上哲平(Purveyors ストアマネージャー)
いわがみ・てっぺい|群馬県桐生市にあるアウトドアと旅のコンセプトショップ「Purveyors(パーヴェイヤーズ)」に勤務。ストアマネージャーとして、店舗販売からイベントの企画・運営、撮影など、オールマイティに活躍する。

少々ポンコツな愛車ですが、ストーリー込みで愛くるしくて。

サーフィンやスノーボード、キャンプなど、趣味が多く、全国各地を旅しながらアウトドアアクティビティーを満喫する岩上さん。20代前半の頃には、ワーキングホリデーでオーストラリアへ渡り、バンライフの経験も。そんな彼にしてみれば、遊ぶための長距離移動は当たり前。足となる愛車には、タフな一台を求めたいところだが……。

岩上さんの愛車は、三菱の「JEEP J24H」。生産から40年以上が経過する、いわば旧車である。

「職場のオーナーがJEEPに乗っていたこともあり、“いつか自分も”と強く憧れていたんです。そんななかオーナーから見せてもらったのが、このJEEPの写真でした。車検込み、75万。当時の僕からしてみれば、これってかなりの大金で……。めちゃめちゃ欲しいけど、すぐに払えるわけもなく。迷っていました。すると、オーナーが『給料から分割してやるよ』と背中を押してくれて。もう勢いでしたね」

「売りに出されていた兵庫県まで取りに行き、そこから群馬にある自宅まで自走。帰路20km地点で動かなくなりました。(笑)初日からレッカーを呼ぶというハプニングでスタートしましたが、オーナーのJEEPと一緒に北海道を旅したり、キャンプに行ったりと思い出はたくさん。

少々手のかかるポンコツで、残念ながら今も調子が悪くてお休み中ですが、いろいろとストーリーが込もった愛車なので、近々復活させて、お気に入りのエスプレッソの2トーンカラーでこれからの旅にまた色を添えたいと思います」

キャンプ仲間にドヤ顔できるテントです(笑)。

今年でキャンプ歴3年になる岩上さん。人と被らず、快適に過ごせるテントを探していたところ、Spatz(スパッツ)の「Stork 4 BTC」が彼の目に止まった。

「使いやすさと、飽きのこないカラーに一目惚れでしたね。トンネル型テントとしては珍しく、アウターテントとグランドシートが一体化になっているので、扱いやすく、設営・撤収時間もスピーディです」

「インナーテントの高さが約190cmあるので、寝室とリビングの移動を立ったまま出入りでき、とにかく快適なんですよ。とはいえ、僕一人で使うには大きすぎますが……」
彼が言うように、「Stork 4 BTC」の収容可能人数は最大4人。ファミリー層に支持されるテントである。

「でも、コレ一基あれば友達を誘ってキャンプに行けますし、何よりもSpatzは日本上陸からまだ間もないブランド。キャンプ仲間にドヤ顔できる、自慢のテントなんですよ(笑)」

前回に続き、紹介したのはアウトドア業界人の“愛すべき無駄なもの”たち。ギア選びに強くこだわる彼らでも、ときにパッションを優先し、思うがままの買い物を楽しんでいる。もの選びの基準は、人それぞれ。最適解なんていうのは、誰かが決めるものではない。自由な視点で自分らしく、心を満たす買い物を楽しんでみてはいかがだろうか。

  • Text/GGGC
LL MAGAZINE