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“好き”に満ちたアウトドアな家と山形スローライフ
OUTDOOR 2022.06.27

“好き”に満ちたアウトドアな家と山形スローライフ

趣味を感じさせる人の部屋は、どうしてこうもカッコよく見えるのか。モノが多いのに、なぜこんなにも洗練された空間に仕上げられるのか。そのヒントを探るべく、アウトドア系インフルエンサーとして夫婦ともに注目されるMIKIさん&SASUKEさんの自宅に潜入。外遊びの要素に満ちた、“好き”に妥協しない家づくりのルーツと、インドアで送る日常の楽しみ方を伺った。

INFORMATION
MIKIさん&SASUKEさんご夫婦
MIKIさん&SASUKEさんご夫婦
みき|山形市内にあるアウトドアショップ「DECEMBER(ディセンバー)」に勤務。お洒落なキャンプスタイルがSNSで注目され、山形で送るスローライフな日常も多くの支持を得る。 さすけ|父親の影響で幼い頃からアウトドアに親しみ、大人になってからの趣味も登山やキャンプ、釣り、スノボ、バードウォッチングなど、アウトドア三昧な日々を送る。

故郷を離れ改めて気づいた、地元・山形の魅力。

玄関ドアを開け、まず目に飛び込んできたのは開放的な室内窓。奥に見えるリビングから玄関ホールにまでたっぷりの太陽光が注ぎ込み、加えてインダストリアルな空間と“中なのに外”を演出する多くのグリーン……。外遊び好きなら誰しもが連鎖反応的に好きになる、まさにアウトドアフリーク憧れの家である。

「どこにいても光が入る家にしたかったんです。それで室内窓を取り付けたいとハウスメーカーさんに相談し、最初は既製品の窓を提案してくれたんですけど、建具の職人さんが『こんなんじゃダメだ』とイチから作ってくださって(MIKIさん)」

「完成品を見たときは驚きましたね。そしたら、『職人さんが頑張ってくれました』と(笑)。僕も妻もずっと団地暮らしで、賃貸にしか住んだことがなかったので、一軒家への憧れが強かったんです。その分、結構なワガママを言っちゃったんですけど、ハウスメーカーさんがその気持ちを汲んでくれて。さっきの窓だけでなくキッチンにも造作のものを入れてくれたり、僕らの無理難題な要望にたくさん応えてくれました(SASUKEさん)」

生まれも育ちも山形県のMIKIさんと、秋田県生まれで山形県育ちのSASUKEさんは学生時代に出会い、25歳で結婚。その翌年から約5年間、東京にも住んでいたようだが、地元・山形を離れたことをきっかけにMIKIさんはアウトドアに傾倒するようになる。

「私がキャンプをするようになったのは、10年ほど前。東京に居た頃でした。もともとアウトドアが趣味だった夫に連れられ、バックパックひとつで千葉にあるキャンプ場を目指し……。電車を乗り継ぎ、最寄り駅からキャンプ場までさらに徒歩30分の道のり。あまりにも過酷すぎて、もう一生行かないって思ったんですけど、いざ到着してテントを張り、ご飯を作って食べたらあまりにも美味しくて。そして、キャンプの不便さを楽しむ感覚がどこか懐かしくもありましたね(MIKIさん)」

「山形では当たり前だったのに、キャンプを通じて自然を身近に感じられる暮らしって良いなと改めて気付かされたんです。都会での暮らしも刺激があって楽しかったんですけど、次第に山形へのUターンを意識するようになり、家を建てたいという思いが強く重なった2017年、こっちに帰ってきました(MIKIさん)」

朝はバルコニーで歯を磨き、夜はロフトで映画鑑賞。

春は、山菜採りとキャンプ。夏は、暑さを避けるように登山を楽しみ、秋になったらキャンプを再開。冬はスノーボードにワカサギ釣りと、オールシーズンでアウトドアを満喫する二人だが、マイホームを建ててからはインドアな日常も楽しんでいる。

「仕事終わりにビールを持ってバルコニーへ……。もう最高なんですよ。建物が密集していないので景色も良いですし、煙を気にせず焼き肉も楽しむこともできます。ちなみに、朝日を浴びながらここで歯磨きをするのも意外と好きです(SASUKEさん)」

「隠し部屋みたいな感じなんですが」とMIKIさんに案内してもらったのは、2階上にあるロフト。壁にはプロジェクター用のクロスが貼られ、ホームシアターを楽しめる空間に。ソファーベッドを備えているため、来客の際はゲストルームとしても活躍する。

アウトドアを感じさせるアイテムも、インテリアに

「シンプルというよりかは、少しごちゃごちゃした感じが好きで。なんだろう、おばあちゃんの家とか親戚の家とか、ちょっと生活感のある感じ。ジブリ作品に出てくるような古めかしい空間っていうんですかね(MIKIさん)」

確かに言われてみれば、二人の家に“隠して収納”というスペースはほとんどない。でも、キッチンなどもモノが多い割に喧嘩して見えないのは、茶色好きのMIKIさんがナチュラルシックなコーディネートに仕上げているから。

「二人とも古いものが好きなんですよ。妻は和なテイストの家具。僕は70年代のアメリカンヴィンテージが好きで、よくリサイクルショップを巡ったり、ネットオークションとかもチェックしてます(SASUKEさん)」

「このコールマンのランタンは、まさに1970年代とか。古着屋を営む友達に『買付のタイミングで、もし良さそうなものがあったら』とアメリカに行く前にお願いしていたら、このランタンを買ってきてくれたんです(SASUKEさん)」

アウトドアを感じさせるアイテムは、そのほかにも。左はシャープの卓上コンロ、ポロロン社製のウォータージャグ。何気ない日常も、見渡せる空間に“好き”を散りばめればなんだか特別な一日に。

外遊びも家での時間も、あえての手間を楽しむ。

ここは、二人のワークスペース。MIKIさんはデスクワークをこなし、SASUKEさんはフライタイイングを楽しんでいる。

ちなみに“フライタイイング”とは、渓流釣りで欠かせない虫に見立てた疑似餌「毛ばり(フライ)」を作ること。もちろん、釣具屋に行けば出来合いのものを揃えられるが、自作の毛ばりで魚を釣ったなら……。その喜びは、何倍にも膨れ上がる。

「毛ばりを作っているときは、せんせーとの勝負」とSASUKEさん。“せんせー”とは、二人が一緒に暮らす愛猫の名前。穏やかな性格で、猫を飼っていることで諦めた家具はないというほど利口なのだが、フライタイニングで必要になる鳥の羽には目が無い、せんせー。SASUKEさんの手元を目がけ、よく邪魔しにくるのだそう。

「妻も、よくここで趣味であるレザークラフトをしてるんですけど、僕は彼女ほど手先が器用じゃなく……。おまけに、せんせーがイタズラしにくるので、毛ばり作りはひと苦労です。お酒を飲みながら作ったりもするので、酔っ払ったときはひとつ作るのに30分ぐらいかかることもあります(SASUKEさん)」

自身のことを“器用じゃない”とは言いながらも、二人の生活空間にはSASUKEさんによるDIY箇所が随所に現れる。ガレージ壁面には有効ボードを取り付け、外遊びの道具を綺麗に陳列。愛車であるランクル60のラゲッジルームには車載棚を自作し、ギア積載時の使い勝手を向上させた。なにやら話を掘っていけば、「採寸とか適当なんですけど」とマイホームを建てる際の図面もSASUKEさんが引き、提案したというのだから驚きだ。

「最近、家と同じぐらいの敷地を裏に買いまして……。今草むしり中なんですけど、そこに藤棚やファイヤーピッド、小屋などを作ろうかなと計画中です。実はこの家の植栽をやってくれた友人にもその話をしたら、『いいね、面白いことやろうよ!』と、なぜか僕らよりも気合いが入ってて(笑)。これから忙しくなりそうですけど、アクティビティとは別の楽しみが増えました(SASUKEさん)」

好きこそものの上手なれ。“器用じゃない”とは言いつつも、ものづくりの最大のモチベーションは“好き”であること。家作りにしろ、毛ばり作りにしろ、これからの裏庭改造計画にしろ、何をするにも楽しんだ者勝ちである。

外遊びの要素に満ちた、“好き”に妥協しない家づくりと、家時間の過ごし方。便利な時代だからこそ、あえての不便さを楽しむキャンプといったように、日々の暮らしもゆっくりと手間をかけ、アナログな時間を楽しむのもいいのかもしれない。

  • Photo/Hisanori Suzuki
  • Text/ GGGC
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