3階建てのマイホーム。大きな窓も屋上も、開放感が人を呼び寄せる。
「BEAMS」から生まれた“外遊び”プロジェクトを発信する「HAPPY OUTSIDE BEAMS」が、「LIFE LABEL」の“外遊びを楽しむための家”「Sunny Track House(サニートラックハウス)」をプロデュース。では、一人ひとりが個性に満ちたBEAMSスタッフは、どのような暮らしを送っているのか。今回は屋上のある一軒家に住む、松井圭太郎さんの3階建ての自宅に伺った。
- 松井 圭太郎さん
- まつい・けいたろう|地元である「ビームス 京都」のスタッフとして入社。関西を中心に複数の店舗を経験し、2020年に京都勤務に復帰。現在は「ビームス ジャパン 京都」のスタッフを務め、プライベートでは妻の真衣さん、愛娘の芙紫乃ちゃん、茉ツ莉ちゃんとの4人暮らし。生まれ育った京都をこよなく愛し、鴨川沿いは日常のサイクリングコース。
- Instagram - @heiwamanferos
仕事仲間も地元の仲間も、子どもの友だちも憩う家。
松井さんは京都生まれ京都育ち。以前は観光のハイライトともいうべき京都市の左京区に暮らし、現在の住まいに引っ越したのは6年ほど前のこと。観光地のにぎわいから程よく距離を置いた住宅街に、一軒家を構えている。
「ここは僕が生まれ育った実家です。僕も、僕の兄弟も独立した後、父がひとりで住んでいましたが、そろそろ取り壊して、マンションにでも引っ越そうかな、なんて話が持ち上がって。すると、僕たち兄弟が帰れる場所がなくなってしまう。それなら、と京都に住んでいた僕たち一家が実家に戻り、二世帯住宅にすることを決めたんです」
かくして、2階建てだった住まいを解体。二世帯が不便なく、心地よく暮らせる間取りであることを前提に3階建てへと建て替えた。松井さん一家の居住スペースは2階と3階。妻の真衣さんも、愛娘の芙紫乃ちゃんも茉ツ莉ちゃんも、家族団らんの時間を過ごすLDKは2階に設けられ、開放的な四つ窓から気持ちのいい自然光が差し込む。
「大きな窓のある家にしたかったんです。開放的な、人が集まれるような家。というのも、僕はひとりでジッとしているのが苦手。家にいてもボーッとしている時間を作りたくなくて。でも、人が集まれる家にできたなら、いつだってにぎやか。その理想どおり、仕事仲間も地元の仲間も、娘の友だちも、我が家には気づくと誰かがいるんです(笑)」
キッチンだって立ち入り自由。訪れた人は住まいの一員。
陽光が注ぐリビングの窓には、鉢の佇まいも味わい深いグリーン。部屋の随所に額装された写真やグラフィックが飾られ、ラックに並んだ雑貨や民芸品も表情豊か。そこにモールテックスのキッチンカウンターがシックなニュアンスを添え、完成された趣が漂うも、部屋のムードは至って柔らか。
「その理由はきっと、収集癖ですね(笑)。妻は翡翠や石英といった石を集めるのが好きで、僕はレコードや手ぬぐいにマグネットを集めるのが好き。モノが多いだけに、集めたアイテムをいかにインテリアとして見せるかがカギなんです。産地も用途もバラバラのモノたちを凝縮したラフさが、部屋の居心地につながっているのかもしれません」
妻の真衣さんも「ちょっとした違和感があったほうが、インテリアに遊び心が生まれると思っています」と話す。その違和感こそが、居心地のよさと完成された趣が同居する理由。日本の民芸品であるこけしと海外製のレトロな人形が共に顔を出し、その隣にはカート・コバーンのレコード。真衣さんの言葉どおり、インテリアの遊び心がモダンに映る。
「仲間と食事もすればお酒も飲むし、我が家はキッチンも立ち入り自由。妻のこだわりから調理スペースを広く取ったので、友だちも一緒に作業できるんです。うちに来たら、この家の一員のような感覚ですね(笑)。みんなが好きにキッチンに入っては好きに冷蔵庫を開いて、好きに料理をしては一緒に味わう。そのゆるさが心地よくて」
それぞれに趣味を持つ夫妻とあって、自分の楽しみに熱中する時間も欠かせない。石の収集が趣味の真衣さんは、ストーンやビーズを用いたアクセサリー作りにもご執心。ひとり黙々と精を出すのはもちろん、最近は長女の芙紫乃ちゃんも一緒に楽しむ機会が増えたとか。
一方、松井さんの趣味が見て取れるのが、彼の秘密基地。
「ここには趣味の漫画やVHSを収納しています。なかでも世代的に、2000年代の作品が好きなんです。当時の漫画やVHSは捨てられないし、今も色褪せない。人の集まれる家にしたかったのも、2000年代の作品が影響している気がします。例えるなら、松田龍平主演の『青い春』のイメージですね。屋上をたまり場に、仲間との絆を深めるような」
昼も夜も。晴れた日は、開放的な屋上がリビングに。
心地よく暮らせる間取りであることを大前提に、松井さんが絶対に譲れなかったのが、屋上のある住まいであること。まるで映画のワンシーンさながらに、晴れた日には青空の広がる屋上が家族と友人たちのリビングになる。入り口に配したラックにはキャンプチェアやテーブルにタープもセット。コンクリート敷きの足元には木製のデッキパネルを張り、より野外のニュアンスを強めている。
「友人と一緒にバーベキューをしたり、とことん語り合ったり。暑い季節にはプールを出して、子どもたちのためにスイカ割りを企画したこともあります。屋上だからこその開放感がそうさせるのかな。みんな、いい感じにダラ〜ッとしてくれるんです(笑)。人の家だからと変にかしこまらず、心からリラックスしてくれることがうれしくて」
その開放感を味わえるのは、は日中だけではなく、日が暮れれば、屋上の白い壁をスクリーンがわりにプロジェクターを持ち込み、映画や動画の鑑賞まで楽しめるというからうらやましい限り。野外シネマさながらのムードに、子どもも大人も没入してしまうとか。
「屋上のある家にして良かった。改めて、そう思います。家族や友人たちと一緒に過ごす時間はもちろん、この屋上は、ジッとしているのが苦手な僕にとっても欠かせないスペース。子どもが寝静まった後に大好物のお酒を飲んだり、自分のトレードマークであるヒゲを染めたり(笑)。思いのまま、自由気ままに過ごせる場所です」
もしも、Sunny Track Houseに住んだとしたら?
「屋上のある今の暮らしにも満足していますが、今後はもっと充実した空間に作り込みたいです。今は友人を招くたびに、テーブルやチェアをセットしている状態なので、日頃から家族のセカンドリビングとして使えるくらい、しっかりしたスペースにしたくて」
松井さんが思い描くのは、今以上に暮らしに密接した屋上の姿。真衣さんも「テーブルを備え付けにして、家族が日常的に食事を楽しめる屋上にしたいよね」と話す。そうした想像を巡らせる松井さん一家がSunny Track Houseに住んだとしたら、どんな暮らしを送るだろう?
「屋内のリビングと屋外のリビングが地続きの間取りは、まさに理想的。これなら特別な準備をせずとも、デッキで食事ができますよね。それに大きな庇があるから、夏の猛暑も心配なさそう。正直、今ある屋上と楽しみ方が変わるかというと、変わらない気がします。ここに暮らしたなら、今の楽しみがさらに広がる。そんなわくわく感がありますね」
Sunny Track Houseでの暮らしを思い浮かべながら、松井さんは「実は屋上のデッキパネルが浮いてきてしまって…」とぽつり。今と同様にウッド製のパネルを張り直すのか、それとも砂利を敷くのか、緑の人工芝にするか。今以上に屋上と日常生活をシームレスにつなげるべく、さらなる理想の住まいに向けた想像に終わりはない。
- Photo/Yuki Nobuhara
- Text/Kyoko Oya
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