ユウキ(CHAI)|アートとファッションで彩って。アイデアが膨らむ趣味部屋。
LIFE LABELと雑誌POPEYE(ポパイ)のコラボ住宅、「Mr.Standard」は、 “好きなこと”を自由に描ける家。“ニュー・エキサイト・オンナ・バンド”=CHAIのベーシスト・ユウキさんは、音楽という軸に加えて、アート×ファッションの表現活動もライフワークとする。モノづくりを愛する彼女なら「Mr.Standard」とどう向き合う?
- ユウキ(CHAI)
- ゆうき|「コンプレックスは個性だ!」をコンセプトに、世界的に活躍するガールズバンド「CHAI」のベーシスト。作詞やアートワークなどのクリエイティブも担当。独創的な感性は音楽以外の業界からも注目され、2022年の春夏よりアートとファッションを融合させたクリエイティブプロジェクト「YMYM」を始動。ディレクターとしてアパレルやアート、ライフスタイルグッズなどのデザインも行っている。
- Instagram - @yuukichan2
受け手の感じ方次第でガラクタは宝物にだってなる。
ユウキさんは、世界を飛び回るトレジャーハンターだ。「アートとガラクタは表裏一体」と話す彼女の家には、なにやら不思議なオブジェがいっぱい。その多くは海を越えて、ユウキさんが連れ帰ってきたものたちだ。
アーティスト活動で頻繁に海外へ旅するというユウキさん。直近で行ったワールドツアーでは、アメリカ、カナダ、ブラジル、メキシコ、チリ、アルゼンチンを訪れた。ライブの合間を縫って、現地のリサイクルショップで宝探しするのは、忙しい日々の中の癒しなのだという。
「観光では行かないような場所にあるマニアックなお店で出会いがあったりします。1ドルくらいで売られていて、ゴミになって捨てられるかどうかのギリギリで持ち堪えているものに心がキラキラしちゃって。それがアートなのかガラクタなのかは、受け手の見る角度次第だと思うんです」
そうして集まったものは、なぜか“顔”が印象的なものばかり。テイストもバラバラでどれも個性が強いのに、ユウキさんの家に置いてあると、まるでそこが昔から、自分の居場所だったみたいになじんでいる。
「見つけたときに“部屋に合うかな?なんてことは考えないです。そもそも何に使うものなのか、用途も謎だったりするので。持って帰ってきてから“これはお香立てに使えそう”とか、役割を自分で考えることもさえもひとつの楽しみ。どれが一番かなんて選べない。この部屋にあるもの全部がお気に入りなんです」
空間のコーディネートにも興味があるというユウキさん。ユニークなオブジェを自分の色で飾るセンスにも、海外での体験が活かされている。「海外のホテルに泊まると、アートの飾り方の上手さに驚きます。インテリアのチョイスと置き方が、動線に囚われていなくて自由なのが素敵。「Mr.Standard」にもそんな風に、好きなものを思いのままに詰め込みたい!」
Mr.Standardならラワン合板の壁一面に絵画を貼ることもできるし、いくらでも好きなオブジェを置ける大きなシェルフもある。ユウキさんとの相性は抜群なようだ。
好きなものに縛りは設けない。自由に選び、まとう服。
アートは直感で選ぶユウキさんだが、ファッションにおいてもその感覚は同じ。装い方にもルールは設けず、毎日全く違う自分を楽しんでいる。「かわいいワンピースを着る日もあれば、メンズっぽいスウェットやTシャツにヘッドフォンをしちゃうという日も。選び抜かれたヴィンテージもファストファッションも“全部いいじゃない!”というタイプ。服という存在そのものが好きだから、ジャンルも絞らず何でも着るんです」
コーディネートを決めるときは、まず着たい色から選ぶそう。「私ってきっと気分と色が密接なんです。雨が降っていたらテンションをあげるために赤を着ようと思ったり。色が助けてくれる感覚があるのだと思う」
こちらは家の中で、一際賑やかなアクセサリーを置いた一角だ。「ディスプレイに使っているのもアクセサリー専用のものじゃなくて、さまざまな場所で出会ってきたアート。このワニのオブジェの口にはネックレスを掛けようとか、ブックエンドの石の上にリングを置いてみようとか、アートと装飾品を合体させて並べています。アクセサリーって、買うときも身につけているときも、そしてこうして飾っているときも、私にとってはアートというポジションなのかもしれません」
彼女が昨年立ち上げたクリエイティブブランド「YMYM」にも、自由奔放にアートとファッションを楽しむユウキさんのマインドが反映されている。「今存在するファッションブランドって、ターゲットやテイストをひとつに絞っているよな、ということに気づいて。何にも縛られず、どんなジャンルのものも作るブランドなら、私がやる理由があるのかも、と思ってできあがったのが『YMYM』です。枠ができてしまわないように、ブランド名にも意味を持たせていないんです」
ファッションにアートの一面を見出しているユウキさん。「Mr.stadard」は「YMYM」のデザインを考える拠点にもぴったりのクラフトスペースだ。「合板の壁にL.A.で出会ったヴィンテージワンピースをアートみたいに飾りたい。テンションが上がる場所にして、デザインする時間をもっとワクワクさせたいんです」
偶然を楽しむから見えてくる、想像を超えた広い世界。
音楽活動、ブランドの立ち上げと、創作意欲にあふれるユウキさん。ワールドツアー直後に決まって、描きたい気持ちが爆発するタイミングがやってくる。「たくさんの国を行き来してきたけれど、その国によって視界に入ってくるすべてのものが違うんです。メイクやファッション、髪型、香水の香り。自然に目をやると、葉っぱの形や紅葉の仕方も違う。日差しも空気も、街にあふれているラクガキだってそれぞれ違う。そういう差異を、ひとつひとつ拾って吸収し、アウトプットするんです」
絵を描くときも、洋服と選ぶのと同じで色から発想していく。「例えば、ピンクの絵を描きたいなと思ったら、“ピンクに水色を合わせよう”となって、それらの色を使うために“どんな形のものを描こう?”という順序で制作しています。アートとガラクタは表裏一体だという話をしましたが、絵も同じ。アメリカの古着屋さんで買い物したときに服を入れてもらった袋とか、新聞紙とか、見過ごしたら捨ててしまうような素材を貼ることもあるんです」
ファッションのデザインも絵を描くことも、それぞれ喜びの種類が違うから、両方続けていくことに意味があるのだと言うユウキさん。
「ファッションのデザインは、着てくれる人が自分の表現にしてくれるという喜びがあるけれど、絵はまた違う部分に価値を見出しています。私は1本の筆で違う色を使っちゃったりするけど、それで混ざって偶然できちゃった色が好きで。自分の頭の中で絶対想像できないようなことが起きるのが嬉しい。人間の想像なんて所詮狭いものだと思うから、キャンバスに向かいながら、それを越えてくる何かが来るのを見ていく過程が好き。出来上がったとき、思ったものと違えば違うほど喜びは大きくなります」
「Mr.Standard」にはアトリエとして使えるクラフトスペース=趣味部屋がある。「自宅のアトリエスペースでは、いつも机が壁に向かないように作業しているんです。視界の先が開けていると心地よくいられるから。そういう意味でテーブルの先に窓があるのは嬉しいですね。それに作業机とアートを飾れる棚がL字型になっているから、窓の前に座れば、アートに囲まれているようで、インスピレーションを与えてくれそうです」
収納たっぷりの引き出しには、“捨てられない、いつか何かに使いたいもの”を大事にしまっておきたい。「素材が珍しい包装紙なんかをきれいに畳んでとっておいてあるんです。きっとこの引き出しの中は、整頓されたきれいなものでいっぱいのダストボックスになるんだろうな」
アートでもファッションでも、すべての枠をとりはらって、自由なクリエイティブ活動を続けていきたいと話すユウキさん。「Mr.Standard」は、きっとそんな想いを叶える発信基地になる。
「私にとって“なくてもいいもの”は“なくてはいけないもの”。趣味部屋のような家の中の余白は、最高のリラックスできる場所なんです」
いつでもゴキゲンな自分でいられる「Mr.Standard」。
“好き”の数が多いほど、家での楽しみ方が広がり、豊かに過ごせる「Mr.Standard」。
自由自在に使えるクラフトスペースは、おもちゃと画材が気持ちよく混合するアートスペースにしてもいいし、漫画とレトロゲームのプレイをエンドレスに繰り返すオタク部屋であってもいい。旅の思い出の民芸品とアートブックを眺めてうっとりする、秘密の時間を過ごすための空間にもなる。
想像を超えた楽しさがいくらでも降ってくるはずだ。
- Photo/ Hisanori Suzuki
- Text/ Ai Watanabe
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